プロダクトマーケティング担当者にインタビュー
アウディ初のEVという記念碑的モデルの開発の経緯について、プロダクトマーケティング担当のクリスチャン・ヒア氏に話を聞いた。
そもそもEVを作ろうという計画はいつ立ち上がったものですか? VWのディーゼルゲートがきっかけなのでしょうか?

Christian Heer
プロダクトマーケティング担当のクリスチャン・ヒア氏。
ヒア氏(以下敬称略):いえいえ、それは違います。計画はそれ以前から、およそ7年前には電動化を進める戦略チームが立ち上がって、私のアウディでのキャリアはそこからスタートしています。その2年後には完全な電気自動車を開発することが決定したのです。
しかし、なぜSUVだったのでしょう?
ヒア:小型車、大型車、クーペやSUVなどさまざまなコンセプトを検討しました。まず最初のモデルとして優先すべきはボリューム(販売台数)です。いま世界中で人気があって特に欧州や中国で成長の可能性が見込めるSUVに決定しました。2015年のフランクフルトショーで「e-tron クアトロ・コンセプト」は発表したのですが覚えていますか? あのモデルに対する反応がとてもよくて量産に向けて動き出したのです。

VWグループはいまEV専用プラットフォームの開発を進めていると聞いています。ただe-tronは先行車として縦置きエンジン車用の「MLB evo」を使っていると聞きましたが、それは正しいでしょうか?
ヒア:それは違います。A8やQ7など「MLB evo」ファミリーと同じ車軸やサスペンションなど一部の部品は使用していますが、e-tronは完全な電動車であり、床下にバッテリーを配置した全く新しいプラットフォーム(C-BEV)です。いまポルシェと共同開発している「PPE」 (Premium Platform Electrification)は、次世代の高級車用のプラットフォームとして、2021年または2022年頃に登場する予定です。また小型車用のプラットフォームはVWと共同開発している「MEB」があります。
LAモーターショーで「e-tron GTコンセプト」が発表されましたが、あれもPPEではなく別のものですか?

ヒア:あれもPPEではありません。e-tronのプラットフォームに似ていますが、「C-BEV」と既存のパーツをミックスした、2019年に導入されるポルシェのプラットフォームです。
これは通称「J1」と呼ばれるバッテリーの搭載位置の低いプラットフォームのことだ。2019年に発売予定のポルシェ初のEV、タイカンが採用するという。VWグループではここから数年は、コンパクトカーは「MEB」、SUVなど背の高い高級車に「C-BEV」、背の低いスポーツタイプが「J1」という、3本立てて進めていくようだ。
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