政府の後押しも不可欠

 実戦の経験や実績がない日本製品では特に、完成品よりも素材やコンポーネントのレベルで売り込む方が参入しやすい。そして、そういった分野であれば軍民両用技術(デュアルユース)を活用する目もある。そのことに気付いたのか、防衛省は最近、中小のメーカーが手掛ける軍民両用技術を後押しする動きを見せている。

 メーカーが単独で頑張るのではなく、政府、なかんずく防衛省・自衛隊によるバックアップも必要である。防衛装備品は民間向けの工業製品と比べると、極めて政治的色彩が強い製品であり、かつ、輸出はすなわち外交政策の一環でもあるからだ。そして、導入に際して要員を訓練したり、使いこなしのためのノウハウを伝授したりといったところでは、輸出元の軍による関与は必然である。実際、海上自衛隊で使っていたTC-90練習機をフィリピンに供与したときには、フィリピン軍の要員を海上自衛隊が訓練した。

 つまり、防衛省や自衛隊だけでなく、他の省庁、首相以下の政治関係者、そしてメーカー。これらが足並みを揃えて一体となって動かなければ、防衛産業界の生き残りや、その手段となる対外輸出の実現は難しい。国を挙げての取り組みは、他国でも当たり前のように行っていることである。オーストラリアのように、政府が音頭を取って「我が国ではこういう製品を輸出できます」と対外向けのカタログをとりまとめている事例もある。

 また、将来的に完成品を海外に輸出するのであれば、航空機にしろ、艦艇にしろ、車両にしろ、「まず自衛隊のニーズに合わせたものを作る。それだけでは数が出ないので、対外輸出も考える」なんていう殿様商売では買い手はつかない。最初から対外輸出を視野に入れて、多様なニーズに対応できる柔軟性を持たせた設計、必要に応じて要素技術をブラックボックス化できる設計、相手国のメーカーが生産や納入後の保守管理に参画することを想定した設計のものを作る必要があるはずだ。

相模湾を航行する海上自衛隊のこんごう型護衛艦「ちょうかい」。日本国産の防衛装備品が海外でも使用される時は来るのだろうか。(写真:井上 孝司)
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