試験・評価という難題

 防衛装備品に限った話ではないが、製品が高度化・複雑化すれば、研究開発だけでなく、試験・評価も難しくなる。高度で複雑な機能を試すための舞台装置とシナリオが必要になるからだ。

 たとえば、ステルス戦闘機を開発しようとするとどうなるか。レーダー電波の反射低減を図るための技術開発だけでなく、実際に意図した通りの結果が出ているかどうかを調べるための試験・評価が必要になる。それは実際にモノを作って検証しなければならず、「こうなるはずです」では説得力がない。

 日本では、先端技術実証機「X-2」を製作して飛行試験を実施した。同機の実現に向けた開発過程では、レーダー反射の計測を行うための施設が日本国内になく、フランスの施設を借りて計測用の模型を持ち込んだことがある。他国の施設を借りなければならないということ自体、ひとつの制約要因である。

 また、射程距離が長いミサイルや火砲を開発すれば、仕様上の最大射程で発射できるだけの面積を備えた試験場が必要になる。国土が狭い日本では、これも無視できない制約要因になる。

 そしてもちろん、試験・評価そのものに関するノウハウをいかにして身につけていくか、という課題もある。

解決策は国際共同開発

 そうした状況の狭間で、果たして日本の防衛産業界が海外に打って出るチャンスはあるのだろうか。そこでヒントとなりそうなのが、冒頭でも触れたイギリスとの空対空ミサイル共同開発案件、あるいは以前から米国との間で進めているSM-3ブロックIIA弾道弾迎撃ミサイルの共同開発である。

 つまり、日本が強みを持っている要素技術をテコにして、実績も経験もある海外メーカーと組んで共同研究・共同開発・共同生産を行う図式である。防衛装備移転三原則を策定した背景には、この共同開発・共同生産への道をつけることもある。

 実のところ、高度化・複雑化が進む防衛装備品を、自国だけですべて開発・生産して、しかもリーズナブルな経費で済ませるのは困難になってきている。1種類のウェポン・システムを構成するコンポーネントについて関わるだけでなく、素材や部品のレベルで関わる手も考えられる。うまく量産につながれば、自国向けだけでなく相手国向けの需要も取り込めるし、第三国向けの輸出が実現すれば、さらに需要が増える。

 近年、国際共同開発・共同生産の事例は増加する傾向にある。関係各国間で足並みが揃わないと計画の進捗が妨げられる問題はあるが、研究開発・試験・評価の段階におけるリスクの分散や、生産数量の増加による単価の低減といった利点は無視できないからだ。

 なんとか、日本もそこに乗ることはできないかという話である。いきなり長打を狙わず、チャンスがあれば小口の案件でも掴んでモノにしていく。それが、将来の発展につながるための突破口になるのではないか。誰でも、いきなり「大リーグでプレイ」できるわけではないのだ。