2017年11月に米国のネリス空軍基地で開催されたエアショーでは、最新鋭のステルス戦闘機「F-35AライトニングII戦闘機」が披露された(写真:井上 孝司)

増加するFMS輸入品

 では、防衛費の増額、そして「島嶼防衛」の掛け声による新たな装備体系の導入により、日本の防衛産業界には追い風が吹いてきていると言えるのだろうか。実はそう単純な話でもない。

 最近になって導入が決まった大物の装備品を見てみると、その多くは米国からFMS(Foreigm Military Sales、有償海外援助)制度を通じて輸入するものが多くを占めている。近年の、FMS輸入案件の具体例を挙げてみよう。

  • F-35AライトニングII戦闘機
  • E-2Dアドバンスト・ホークアイ早期警戒機
  • RQ-4グローバルホーク無人偵察機
  • KC-46Aペガサス空中給油機
  • MV-22Bオスプレイ
  • イージス戦闘システム(既存艦の更新が2隻、新造艦が2隻)
FMS(Foreigm Military Sales、有償海外援助)とは

 訳語で「援助」という言葉が入っているが、要するに武器輸出管理制度の1つである。輸出先の政府と米国政府が契約を結んで装備品を発注すると、米国政府から米国軍を介してメーカーに発注が行く。完成したものはいったん米国軍に納入した後で、米国軍から相手国に引き渡される。したがって、代金を支払う相手は、製造元のメーカーではなく米国政府となる。

 米国軍と同じ装備を、足並みを揃えて輸入する分には、契約や製造を一本化して整理統合できる利点がある。だが、納入スケジュールが米国軍の動向に左右されることがままある。また、米国軍が調達していない、あるいは調達を終えた装備を他国が調達しようとすると、利点は薄れてしまう。

 輸出先の国とメーカーが直接契約するDCS(Direct Commercial Sales)という形態もあるが、高度な最新の装備品はFMS経由の輸出しか認められていない場合がほとんどだ。

 航空機は完成機輸入、イージス艦はレーダーやコンピュータをはじめとする戦闘システム機材が輸入品である。導入が取り沙汰されているイージス・アショアも、使用するハードウェアはイージス艦と同じものだから、同様にFMS経由で輸入する形になるのは間違いないだろう。これは装備品本体だけの話ではない。たとえば、F-35は国産の兵装を搭載せず、機体と同様に米国からFMS経由で輸入する。スペアパーツなどについても事情は同じだ。

 つまり、装備調達費が増えても、その多くが完成品のFMS輸入に回されてしまい、日本のメーカーに回る分が増えない。それどころか、むしろ減る傾向にある。少し古い資料だが、2010年(平成22年)3月に防衛省がまとめた「防衛生産・技術基盤」によると、毎年の装備調達に占める輸入品の比率は10%程度、そして輸入調達のうち25~50%がFMSとされていた(年度によってかなりの変動がある)。

 しかしその後に大口の輸入案件が相次いでいることから、この比率が上昇しているのは確かだ。オバマ政権以後の時期にFMSの比率が増加している、との指摘もある。そして、先日に来日した際のトランプ大統領の発言にも見られるように、米国はさらに日本向けの売り込みを強める傾向にある。