衛星画像の解像度は30mから2.5mへ向上

その後、企業向けに超小型衛星を設計開発するビジネスだけではなく、衛星から得たデータを企業に使ってもらうビジネスへと幅を広げ、現在は2022年に50基の超小型衛星を打ち上げるために、手始めの3基の衛星を開発中ということですね。中村さんは大学・大学院に6年間いる間に技術の進歩を目の当たりにしたということでしたが、今、開発中の3基も、その当時からまた相当進歩していますか。

中村:大いに進歩しています。大学で開発した3基目の衛星は重さ8kgでしたが、今開発している衛星は100kg。衛星は大きいほうが1基当たりの性能は当然上がります。例えば、地上の物体をどれぐらいの大きさまで見分けることができるかを示す衛星画像の地上分解能は30mから2.5mまで向上しました。クルマをゴマ粒くらいに判別できるぐらいの細かさです。ただ私たちは地上分解能だけを追求しているわけではありません。画質とか、地図と精緻に重なるかとか、ビジネスを見据えて品質面も追求しています。

 「将来的にもっと地上分解能は上がるのですか」とよく聞かれるのですが、2.5mという数字は戦略的に決めたもので、AxelGlobeにおいては将来的に変える予定はありません。技術的な限界というわけではないんですね。地上分解能を上げすぎると、「衛星だからこそ」の良さが失われてしまうと思っています。安全保障用途を除けば、近年成長著しいドローンと競合してしまいます。衛星にできてドローンにできないこと、それは広い範囲を高頻度で撮影することです。こうすることで得られるデータの「質」が異なり、むしろ競合ではなく協業の対象にもなると考えています。つまり2.5mというのは、広範囲を撮影できるという衛星のメリットが生かせて、かつ画像を分析して有意な情報を抽出するという意味で、十分な地上分解能を検討した結果、我々がたどり着いたベストなスペックなんです。

「どういう情報を使えば顧客のビジネスはうまくいくか」

50基の衛星を打ち上げ、地球を観測することで、企業にはどのようなサービスを提供しようと考えていますか。

中村:それこそ我々が一番力を入れないといけないテーマです。なにしろ今のところマーケット自体がほとんどなく、ゼロからつくっていかなくてはいけないので。お客様からすると、ほしいのは画像ではなく、画像に含まれている情報のはずです。だから我々は衛星をつくるだけではなく、衛星の観測データを解析し、お客様が使える情報に仕立てなくてはいけないと思っています。それには、「どういう情報を使えばお客様のビジネスがうまくいくか」まで一緒に考えることが必要。

 正直、すごく大変ですが、そうやっていち早くゼロから衛星データを提供する情報インフラをつくれば、出来上がっていくマーケットで主導権を握り、圧倒的な強さを持つことができます。まだ世界のどこも完成することができていない仕組みですから、チャンスは大きい。