実は「菜の花」には第2回和食ワールドチャレンジで優勝したジャラン・ディファクさんがいる。今回が初来日となるコムニューさんは、決勝進出が決まった翌日、大喜びでパスポートの申請に行ったという。「いつの日か独立して、タイに自分の日本料理店を開きたい」とコムニューさんは夢を語る。

学生時代のアルバイトから和食の道に
日本での勉強に意欲を燃やす

蔡 明谷さん(台湾)
蔡 明谷さん(台湾)

 台湾第2の都市・高雄で、国立高雄餐旅管理専科学校(現・国立高雄餐旅大学)で料理を学ぶ傍ら、台湾人の経営する日本の居酒屋で始めたアルバイト。それが、蔡明谷さんの和食との出会いだった。台湾では日本のドラマや音楽がポピュラーで、子供の頃から身近に日本の文化があったため、そうした店で働くのも自然な流れだった。「居酒屋でアルバイトをしたのは、学校で勉強したことだけではない別の仕事のスキルを身につけたかったから」と蔡さんは明かす。卒業後の就職口に不安を覚えていたのだ。

 居酒屋で働き始めてから強く印象を受けたのが、和食が季節感を大切にし、野菜を多用した色彩豊かな料理であること。「洗練された料理で、花を飾り付けるなどという感覚がとても新鮮に感じた」と言う。

 学校卒業後、兵役を経て仕事を始めた時、蔡さんは再び和食の料理人としての道を選ぶ。焼鳥店や台湾企業の三井餐飲事業集団が展開する台北の和食店で修業を積み、日本人の料理人に基礎を教えてもらう一方で、本を読み、インターネットを使って勉強した。「和食は料理そのものだけでなく、すべての作業に細心の神経を使う。魚の火の通し方や出汁を取る各工程でかける時間など、一分一秒が大切で非常にデリケートな料理だと思う」と語る。日本の料理は、一口に季節を映すといっても地元の食材に合わせて、その「旬」も変化する。その土地、土地の生活を反映しているところにも、「和食の豊かさ、奥深さを感じる」と話す。

 伝統的な和食の知識を学ぼうとする一方で、台北の「宸料理」という会員制の創作和食料理店で3年働いた経験は、蔡さんの料理の幅を大きく広げた。中国やタイなどさまざまな国の料理スタイルを組み合わせ、現代的な料理を生み出す楽しさを体験したのだ。「自分の料理がどうやったら“輝くか”を教えてくれた店だ」と振り返る。そして現在は、台湾以外の国での経験を求め、上海で2016年に新しくオープンした和食店「千生和割烹料理」に勤務する。

「日本小丸なすとサザエの柚子こしょうクリーム」
「日本小丸なすとサザエの柚子こしょうクリーム」

 蔡さんの出品料理は、「日本小丸なすとサザエの柚子こしょうクリーム」。食感のはっきりとしたサザエとやわらかく煮たナスを合わせることで、新鮮な組み合わせとなるように考えた。料理には紫色のシソの花や黄色い卵粉があしらわれ、華やかな一品に仕上がっている。

 これまで日本で純粋な和食を勉強したことがない蔡さんは、「この大会が自分にとって、大きなターニングポイントになると思う」と期待する。これを機に多くの日本の優れた料理人たちとつながりを持ち、和食を究めたいと意欲を示す。

※メディアでご関心のある方は、「和食ワールドチャレンジ2016」のホームページ(こちら)からお問い合わせください。本イベントでは一般観戦は募集しておりません。ご了承ください。

■変更履歴
記事掲載当初、本文中で「銀泉温泉」としていましたが、正しくは「銀山温泉」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです [2016/12/19 22:00]