いずれは自分の店を持ちたいという夢を抱きつつ、「今は、可能な限り和食について学び、それを自分の力としていきたい」とネオさんは言う。そして、シンガポールに自分の知識を広め、同国の和食レベルと引き上げたいと意欲を示す。

和食がまだ珍しい故国ルーマニアで学ぶ
日本の料理の真剣さに魅せられた

ピルク・イオヌッツさん(ルーマニア)
ピルク・イオヌッツさん(ルーマニア)

 ルーマニア出身のピルク・イオヌッツさんが大学で学んだのは経済学。「進学は両親を安心させるためだったが、食べることが好きだったのでレストランで働きたいと考えていた」と言う。特にアジアの料理に興味を抱いていたことから、大学卒業後は、故郷であるルーマニア北西部の都市クルージュ・ナポカで、同地の日本料理店「TOKYO JAPANESE RESTAURANT」に職を得た。

 日本料理店への就職は偶然だったが、エレガントで簡潔な和食に魅せられるようになったという。特に、同店の主人である土屋尚史氏との出会いは、大きくイオヌッツさんを成長させた。「土屋さんは和食について、手取り足取りすべてを教えてくれる。とてもラッキーだった」と振り返るイオヌッツさんだが、同時に「日本人の料理人は物事をとても真剣に追求する。料理は常に同じ様に完璧でなければならず、常に100%集中して作業しなければならない」と和食を学ぶ難しさも語る。

 寿司、味噌汁、醤油を使った料理――。イオヌッツさんにとって、すべてが新鮮だった。「料理とは火を通した食べ物という西洋料理の感覚があったので、最初に生魚を食べた時は、おいしいけれどとても奇妙に感じた」と話す。一方で、「西洋料理に比べ、和食はお米も野菜も肉もシンプルな調味料で仕上げるのに、驚くほどおいしい。季節の移り変わりを反映して、自然のすばらしさを料理に取り入れていることにも感銘を受ける」と言う。特に好きな料理のひとつは、牛肉の朴葉味噌焼き。「朴葉の香りが移った味噌とともに食べる牛肉の味わい深さが大好きだ」と言う。

「サケの西京焼きとナス田楽、エノキダケ、アップル&マスタード・ビネグレット」
「サケの西京焼きとナス田楽、エノキダケ、アップル&マスタード・ビネグレット」

 「和食ワールドチャレンジ 2016」出品料理は、「サケの西京焼きとナス田楽、エノキダケ、アップル&マスタード・ビネグレット」。「甘い白味噌と濃厚な味のサケ、唐辛子が効いたスパイシーな調味液に漬け込んだエノキダケに、酸味のあるアップル&マスタード・ビネグレットのソースを添えることで、さまざまな味わいの彩りを表現したかった」と言う。サケに八丁味噌を使ったナスの田楽を合わせたのは、料理に野菜を添えたいと考えたことに加え、色の濃い料理を加えることで、全体の色彩がより絵画的になると考えてのことだ。

 これからも、ほかの国の料理に脇目を振ることなく和食一筋にまい進したいというイオヌッツさん。「和食の知識をできる限り多く吸収することで、今まだ日本料理店が多くないルーマニアで本物の和食を広めたい」と意気込む。

※メディアでご関心のある方は、「和食ワールドチャレンジ2016」のホームページ(こちら)からお問い合わせください。本イベントでは一般観戦は募集しておりません。ご了承ください。

■変更履歴
記事掲載当初、本文中で「首都コロンボのホテル」としていましたが、スリランカは1985年にスリ・ジャヤワルダナプラ・コッテに遷都しておりました。正しくは「旧首都」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです [2016/12/14 12:00]
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