全5130文字

 MaaSが巻き起こすビジネスインパクトは自動車・交通業界にとどまらない。小売業や観光業のように人の動きが決定的に重要な産業もあるし、不動産業のように交通の利便性が大きく影響する業界もある。位置情報ゲームの「ポケモンGO」を思い浮かべれば、ゲーム業界も決して無縁ではないことが理解されよう。人とモノの動きに関係がないというビジネスを探すほうが難しい。モビリティ革命はあくまで「手段」であり、その先にある“果実”は世界がこれから模索し、手にするものだ(連載「Beyond MaaS モビリティ革命の先にある変化」)。

 半導体大手の米インテルと調査会社の米ストラテジー・アナリティクスは17年、自動運転が実用化されたことを前提にすると、世界のMaaSの市場規模は2050年には7兆ドル(約770兆円、1ドル=110円換算)になると予測している。この見立ての正確さはともあれ、MaaSが巨大な潜在力を秘めていることだけは確かだ。

 トヨタの「モビリティ・カンパニー宣言」で幕を開けた18年は、鉄道事業者を中心に、各企業のMaaSへの参戦表明が相次いだ。6月に閣議決定された政府の成長戦略「未来投資戦略2018」の中でもMaaSの実現がうたわれ、18年は、さながら「MaaS元年」の様相を呈している。モビリティ革命の巨大なうねりのなかで、今、まさに全産業のゲームチェンジが始まろうとしている。

『MaaS モビリティ革命の先にある全産業のゲームチェンジ』(日経BP社)

 2030年、世界で100兆円以上に達すると予測されるモビリティサービスの超有望市場「MaaS(Mobility as a Service、マース)」。自動車メーカーだけではなく、鉄道やバス、タクシーといった公共交通、シェアリングビジネス、配車サービスをも巻き込む「『100年に一度』のゲームチェンジ」で生き残る秘策とは――。

 交通サービス分野のパラダイムシフトにとどまらず、MaaSで実現する近未来のまちづくり、エネルギー業界から不動産・住宅、保険、観光、小売り・コンビニまで、MaaSの「先」にある全産業のビジネス変革を読み解く、日本で初めての本格的なMaaS解説書!