排出規制強化を背景に注目

世界で初めてマグネシウム合金を外装材に使用した

 しかし、欧州や米カリフォルニア州を中心に排出規制が年々強化されていることを背景に、「アルミだけでは軽量化が追いつかない。マグネシウムか炭素繊維を使わない限り、目標達成が難しい状況になったと自動車メーカーが認識し始めた」。日本マグネシウム協会の小原久専務理事はこう話す。

 なお、自動車用の軽量素材として同じく注目を集める炭素繊維と比べると、マグネシウムは比強度で炭素繊維に劣るものの、ほかの金属部材との接合やリサイクルのしやすさでは分がある。

2025年に需要は倍増する
●マグネシウムの需要予測
出所:国際マグネシウム協会

 石油精製品などからつくる炭素繊維と比べると原材料資源が偏在していないこともマグネシウムの強みだ。これまでマグネシウムの精錬はコストの安い中国の寡占状態だったが、今年から新たにトルコで精錬工場が本格稼働したほか、オーストラリアなどでも事業計画が持ち上がっており、市場の安定化が進んでいる。

 国際マグネシウム協会はマグネシウムの自動車への採用が本格化すると見込み、2015年に約80万トンだった世界のマグネシウム需要が、2025年は約160万トンに倍増すると予測している。

 独ポルシェが昨年発売した新型スポーツカー「911GT3RS」は、屋根材に韓国ポスコ製のマグネシウム板材を採用したことで注目を浴びた。マグネシウムが量産車の外装に使われたのは初めてだ。何重にも施した表面処理により耐食性を高めたことがポイントだ。

 しかし、「2500万円という価格だからこそ採用できるコスト高な加工方法だ」(小原専務理事)。大衆車に軸足を置く日本の自動車市場でマグネシウムが本格普及するには、もう一段の技術開発が必要になる。