新型パナメーラでは圧倒的にアルミの使用量が多く、接合方法も多岐に渡るため、スポット溶接の量はマカンの5000箇所に対し、2500箇所に半減され、これによってエネルギー使用量も減少、ボディの軽量化も図れるという。

 この工程のシステム運用者は2年がかりで訓練を受けており、また新しいプログラムを導入するためにブースも常設されている。「すべてをアルミでボディを作ればそうした複雑な接合方法は必要ないのでは?」と尋ねてみたところ、技術的には可能だが、ボディ剛性や強度、居住性、事故の際の安全性を考慮すると、大量のアルミが必要になり、重量やコスト面でもメリットがないという答えが返ってきた。

人の手によるフィニッシュ工程。塗装前、塗装後も目と手で確認される
人の手によるフィニッシュ工程。塗装前、塗装後も目と手で確認される

 ボディ組み立て工程とは対照的に、外板パネルの確認などのフィニッシュラインでは、人の手と目による作業が行われていた。軽量化を目的に外板パネルの約7割にアルミパネルが使用されているため、まだ部品レベルではわずかな歪みや凸凹が残ってしまうという。

ポルシェの「原器」、アルミ削り出しの「キュービング」

 空調を使ってボディ表面の埃を吸い取り、特別なライトを使って表面を確認している。アルミは研磨の際の熱で歪む可能性があり、職人の技術が求められる。ボディとオペレーターはそれぞれに別のコンベヤーに載っており、ワーカーベルトと呼ばれるオペレーター用のものは、人間工学的に作業しやすい高さに設計されている。さらにはフィーリンググローブとよばれる白い手袋をつけた2年ほどトレーニングをうけた専門家たちがボディをなでまわして、わずかな歪みや凸凹を見つけ、砥石を使って修正する工程まである。塗装前に全車にこれを施しているのだ。

 さらにすごいのは最終チェック工程だ。ここでは、塗装後のサイドパネル、天井、フロントドア、リアドア、ウィング、テールゲート、ボンネットなどが取り付けられた状態で、平滑さ、正しい隙間の幅など、すべてが規定値内であることを確認していく。キュービングと呼ばれる無垢のアルミニウムから削り出された実物大のボディをもとに、3D測定器などで、さまざまな角度から組み立て品質基準を測定し、ドアの開閉はもちろん、サンルーフ、ガソリン給油口、ボディパネルの合せ目など、ありとあらゆる箇所が測定され基準値が導き出されている。いわゆる“チリ”の合わせこみだが、ここまで徹底しているものは初めて見た。さすがに全数全項目ではなく、ランダムに行っているようだが、その都度、比較したデータをもとに、生産ラインの精度を追い込んでいく仕組みだ。

写真が「キュービング」。これをもとに、ボディパネルやサンルーフなど後付け部品の取り付け精度を確認。誤差は10分の1ミリの精度にまで詰められる
写真が「キュービング」。これをもとに、ボディパネルやサンルーフなど後付け部品の取り付け精度を確認。誤差は10分の1ミリの精度にまで詰められる

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