日本では(4)を「失敗」とみなす風潮が根強く、再起の場が与えられることも少ない。この文化が挑戦する人たちを委縮させ、日本のスタートアップ・エコシステムの発展を阻害してきたと指摘されている。

 だが、オール・タートルズでは、撤退した事業にかかわっていたメンバーを希望に応じてスタジオ内の別事業に再配置するという。つまり、事業撤退すら価値に変えながら発展していく仕組みがあるのだ。

 これが、リービン氏が日本人とスタートアップスタジオの相性が良いと語る3つ目の理由である。

 「創造的な方法で失敗すると、次に成功するための教訓が得られます。その経験を持っている人が数多くいるほど、スタジオの資産になるのです」

 この話には、講演の聞き役を務めた新経済連盟・理事の松田憲幸氏(ソースネクスト社長)も強く共感していた。

ソースネクストの松田憲幸社長(左)

 ちなみに、書籍『STARTUP STUDIO』で紹介されている世界各国のスタジオも、概ね同じような仕組みを導入していると記してある(下図参照)。

出典:書籍『STARTUP STUDIO』(イラスト:岡田丈)

 日本でもスタジオ型の支援が一般化していけば、挑戦することを怖がらないプロダクト・ファウンダーが増えていくかもしれない。そしてそれが、日本が技術立国として再興する一助になるはずだ。

「今、行動を起こしてほしい人」の3タイプ

 では、最後に肝心な部分の論考を。日本に上図のようなエコシステムが根付き、「たら・れば」ではなく本当に革新的な製品を再び量産できるようになるには何が必要か。これを考えるために、現状の課題についても触れておきたい。

 すぐに思いつくのは、スタートアップスタジオの数が少ないという課題だ。