経済の屈折点を予見する指標

 国家の若さを計るうえで、逆依存人口比率([15~64歳人口]÷[15歳未満人口+65歳以上人口])という尺度があります。これは1人の被扶養者が何人の働き手に支えられているかという指標です。この比率が高いほど社会全体の負担が軽減され経済は発展しますが、ピークアウト後は債務が膨らみ、経済活動が鈍化する傾向にあります。

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 日本では1968年と1992年の2回、逆依存人口比率がピークを迎えています(図2)。1965年の証券不況や1990年のバブル崩壊はそれを先取りした動きだったと言えるでしょう。これに対し、欧米では同比率のピーク(2007年)と株価の暴落が同時に起きています(図3)。多少の違いはありますが、経済の屈折点を予見していた格好となっていることは同じで、経済の先行きを占ううえで、一つの指標になりそうです。

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 日本の逆依存人口比率は1992年以降、低下する一方なのですが、それでもまだ戦前より上の水準にあることに注目してください。戦前は軍事費負担が重かったせいもあるのですが、それ以前に被扶養者である子供の数が多すぎたので、国民は経済的な豊かを感じにくかったわけです。戦後の高度成長は人口動態の好転でもたらされた側面があるのです。それが今度は老人の数が多すぎることが原因で、1~2年後には逆依存人口比率が戦前と同じ水準まで低下し、人口動態上の隘路にはまってしまう。一体なんという巡りあわせなのでしょうか。

 こうした危うい状況にあるのは欧州など他の先進国も同じです。しかし、最も懸念されるのは中国の先行きです。2000年以降の経済急成長を推進してきた逆依存人口比率はすでに2010年にピークを迎え、その後は若者人口の比率が急減する局面にあります(図4)。先述したように、日本や欧州ではそれまで小康状態にあった若者人口比率の低下が加速する過程で金融危機が起きていますが、いまの中国はまさにそのポイントにあるのです。

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