サントリーワールドリサーチセンター(SWR)へは京都駅から近鉄京都線の急行を使う。それだと35分。各急行が止まる新祝園(しんほうその)駅からは路線バスで10分。外壁に緑が使われているため、威圧感がない。

オープンな空間で基礎研究を

 敷地面積は4万9000㎡。東京ドームの建築面積(4万6755㎡)よりやや広い。そして建物自体の面積は7900㎡。東京ドームのグラウンド面積(1万3000㎡)の3分の2といったところだ。所属する社員研究員の数は約250人、サポートスタッフを含めると400人ほどになる。

 建物は4階建てで、各階の天井高は5メートル。吹き抜けになっているから、広々としている。さらに、ガラス窓の面積も多いので、陽の光が入ってくる。

 1階エントランスを入ったら、ロビーは能舞台のような空間だった。白衣を着たふたりの研究員が舞台のへりに腰を下ろし、打ち合わせをしていた。並んでPC画面を見つめ、話しながら黒烏龍茶を飲む。高校生が図書館でデートしているような光景だった。

 案内の菅修一課長(サントリービジネスエキスパート、取材時)が教えてくれた。

 「確かに、これまでの『研究所』というイメージとはちょっと違います。オープンな空間ですし、また、館内のどこでも打ち合わせができるように、椅子や机、そしてクッションが置いてあります。

 個人のデスクはフリーアドレス制です。晴れた日は窓際で仕事をして、雨の日は部屋の片隅で読書にふけることもできる。自由な環境のなかで自由な発想してもらおうと思いました」

 理科系の研究所といえば、閉鎖的で薄暗く試薬のにおいが漂うところ…。そんなイメージを振り払おうと思ってデザインしたのだろう。

菅課長(右)が所属するサントリービジネスエキスパートは、グループ内の様々な事業会社に共通する業務を集約し、サポートする。まずは入口近くに設置されたガイダンススペースでサントリーの商品やセンターの概要のレクチャーから
オープンスペースの各所に打ち合わせや作業ができるスペースがある
フリーアドレスのため、個人の荷物はこちらのロッカーに

 館内を隅々まで歩きながら、菅課長の説明を聞いた。

 「ここは4つの研究施設が統合されてできたものです。サントリーグローバルイノベーションセンターは様々な基礎研究の拠点です。サントリーウエルネス。健康科学の基礎研究と商品開発をやっています。サントリービジネスエキスパートの安全性科学センターでは商品の安全性についての研究を。そして、サントリー生命科学財団は有機化学、分子生物学を研究する公益法人です」

 まとめると次のようになる。SWRが研究対象とするのは水、食品、酒類などの元になる「自然の恵み」だ。そして、SWRでは、あくまで基礎研究をメーンに据えている。