「飲んだときの話題は、研究からたわいのない話まで何でも。皆が楽しく飲むのを見るのが好きみたいです。(大隅良典)先生は飲むと冗舌ですが、決して酔いつぶれません」(研究室の及川優さん『週刊朝日』2016年10月21日号より)
記事にあるように、このほどノーベル医学生理学賞を受賞した大隅先生は酒を愛する人だ。それも、ひとり酒ではない。研究員や学生と研究について話しながら飲むのが好きなのだろう。
「科学を文化として認める社会に」
そんな大隅先生は基礎研究がいかに大切かを強調する。
「役に立つかどうかという観点でばかり科学を捉えると、社会をダメにすると思う。科学の世界では、『役に立つ』を、『数年後に実用化できる』と同義語に使うことがあるが、大いに問題だ。その科学が本当に役に立つのは、10年後、20年後かもしれないし、100年後かもしれない。将来を見据え、科学を文化として認めてくれるような社会にならないかと思っている」(日経バイオテクONLINE 2016年10月4日付より)
大隅先生の言葉は正しい。しかし、多くの会社経営者は「基礎研究が大切」「実用化は100年後でいい」とは語りづらい。株主や周囲は「すぐに結果を出せ」と迫ってくるからだ。企業の研究所に勤める研究員たちは基礎研究は大事とも思いながら、それでも、「早く結果を出せ」という会社からのプレッシャーと闘っている。
一般的にはそれが当たり前だ。だが、創業以来、「基礎研究こそが大事だ」と言い続けている会社がある。
昨年5月、サントリーは基礎研究、基盤研究のためにサントリーワールドリサーチセンターを作った。それまで同社の研究開発拠点は3か所に分かれていたが、それを統合して、新しい建物にした。場所は京都府下の、けいはんな研究学園都市である。

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