2017年7月に「IoTデザインガール」が発足した。総務省による「地域IoT官民ネッ ト」の一環としてIoTデザインガールのプロジェクトが位置付けられている

 総務省の主導で2017年7月、IoT(モノのインターネット)技術やデザイン思考の手法を活用しながら新しい発想で情報システムを開発・導入し、IT企業などに所属する女性社員の手も借りて地域の活性化を推進しようとするプロジェクトが発足した。それが「IoTデザインガール」だ。一般財団法人・全国地域情報化推進協会(APPLIC)が事務局になり、地域への事業展開を狙うIT企業など34社と、情報化に熱心な6つの自治体が同プロジェクトに参加している(2017年 8月末時点)。9月13日には東京・赤坂で第1回目の「IoTデザインガール ワークショップ」を開催しており、IT企業などから約30人の女性社員がIoTデザインガールとして集まった。今後も定期的にワークショップを実施し、デザイン思考の研修を受けたり情報システムの事例を学んだりすることで、さらに意識を高めていく。

 これまでも総務省は、地域の活性化を目指して情報システムの開発・導入を支援してきたが、今回は女性社員の活用とデザイン思考に着目。IoTデザインガールが地域のさまざまな課題をデザイン思考の手法で見つけ出し、IT活用によって解決に導いていくのが狙い。IoTデザインガールの役割は、ユーザーである地域の企業や自治体とベンダーのIT企業などとの間に立ち、IoTで何ができるかをユーザーやベンダーと一緒になって考え、新たな価値を創出することにある。

 「技術視点の発想ではなく、デザイン思考の手法によって、地域の企業や自治体が抱える課題を見つける“気付き”の能力をIoTデザインガールの皆さんに求めている。女性だからこそ、飛び込みでヒアリングに行っても受け入れてもらえそうだ。新しいやり方で農業や観光、医療・健康などの課題を解決に導き、それを全国展開して、さらなる地域の活性化につなげたい」(総務省・情報流通振興課の犬童周作・課長)。

 同プロジェクトの参加企業にはIT企業だけではなく、生命保険や観光関連なども名を連ねる。多くの業種が参加すれば、課題への解決策も広がる。

2017年9月に第1回目の「IoTデザインガール ワークショップ」が開催された。今後は2カ月に1回と定期的に実施していく

きっかけは「アグリガール」の成功

 IoTデザインガールが生まれた背景には、NTTドコモの「アグリガール」の存在があった。2014年から同社の農業ICT推進プロジェクトチームの有志女性社員がアグリガールとして活動。農家などを訪問して課題を見つけるといった取り組みを推進していた。このときに、IT ベンダーのリモートが開発した畜産向けの「モバイル牛温恵」と呼ぶシステムの活用で課題を解決するなど、多くの実績が出た。モバイル牛温恵では出産を控える母牛に取り付けた体温センサーで体温を監視し、分娩の経過や発情の兆候を検知してメールで通知する。畜産農家の負担軽減につながるとして評価され、全国展開も始まった。本当の課題が分かれば解決策は出てくる。アグリガールの経験をIoTデザインガールに生かせば、意外なソリューションが登場しそうだ。

AIとデザイン思考による新規事業の創出やイノベーションの起こし方を学ぶ4日間のワークショップを、日経ビジネススクール(日本経済新聞社、日経BP社)が開催します。デザイン思考の専門家や成果を出している企業担当者らを講師に迎え、課題の発見から解決への道筋を学び、実践型のワークショップを通して新しい事業構想力を身につけます。「新しいビジネスを生み出す思考」を習得できるよう、徹底指導します。

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