反射波を散らすので見つかりにくい
●「F-35」のレーダーステルス性能
1. 相手が発したレーダー電波が発信源に戻らなければ自機の居場所は捕捉されにくい。そのため主翼や水平尾翼は相似形にして角度をそろえることでレーダー電波の反射方向を限定したり、
2. 垂直尾翼や胴体側面を傾斜させて側方からのレーダー反射を抑え込んだりする。これらはレーダーステルス技術の基本といえる。
3. ミサイルなどの突起物が付いたまま飛行するとレーダーに探知されやすくなるため、飛行中は胴体下面の兵器倉に収容しておく。兵器倉には2000ポンド(約907kg)の爆弾が入る

(写真=1. 2. 米ロッキード・マーチン、3. 米国防総省)

 一般的にステルス技術とは対レーダーステルス、つまりレーダー探知を困難にする技術を指す。敵レーダーが発信した電波が、発信源の方に戻らないようにすれば、敵に居場所が知られることがない。ステルス技術も万能ではないが、少なくともレーダー探知を遅らせる効果は期待できる。

 一方、自機が優れた探知能力を備えていれば、発見のタイミングが相対的に早まる。先制発見できれば、長射程の空対空ミサイルを撃ち込むなど先制攻撃につながる。つまり真正面から斬り付けるより、忍者のように忍び寄って必殺の一撃を放つのがF-35の理想とする戦い方だ。

 となると、航空自衛隊が主力としてきた「F-15(通称:イーグル)」とはおのずと役割も変わってくる。F-15は「ドッグファイト」と呼ぶ空中戦を得意とする戦闘機だ。「日本の空を守る」という任務は不変でも、それを実現する手法は同じではない。

 F-35はそのステルス性能を生かした敵基地攻撃能力にも注目が集まる。6月26日付の読売新聞は、日本政府がF-35に射程300kmの空対地ミサイルを配備する検討を始めたと報じた。

 あくまでも国内の離島有事に備えるのが主目的であろうが、実現すれば自衛のために敵国の軍事拠点を攻撃する能力を持つことを意味する。ステルス戦闘機が敵の防空システムや戦闘機戦力を減殺できれば、後に続く攻撃作戦の遂行も容易となる。

 こうした従来にない交戦形態や任務を実現するには、パイロットの訓練内容も変わっていく可能性が高い。そうなると、先輩格となる米国、あるいは同じF-35導入国である英国、オーストラリア、韓国などの国との間で、定期的に情報交換する場を設けて連携を密にしていく必要があるだろう。それは必然的に、共同作戦を円滑に進めるとか、相互運用性を向上させるとかいう話につながる。