それでも、鈴木さんはどこかでそれを楽しんでいるように話す。ちなみに道中もまったくの単独行。助手席にメカニックやカメラマンが同行したわけでもなく、ここに紹介する道中の記録写真はすべてご自身で撮影されたものだ。

ご家族は反対されなかったのですか?

鈴木:嫁さんは「私も行く!」と言うわけです。九州とか国内のドライブはよく一緒に行きますし、それこそひとりでヨーロッパのアルプスに登るような人ですから。でも息子が「2人同時に何かあると困るから、1人にしてくれ」って(笑)。

理解があるのか、ないのか(笑)。道中、寂しい思いはされなかったですか。

鈴木:実は一番辛かったのは、ロシアの前半でシベリアのおばさんの感じ悪さ、愛想のなさ(苦笑)。男性はまだいいんです、少しづつクルマに興味をもちはじめていて、このクルマがポルシェとは知らなくても「聞いたことあるなあ」とか、そうやって声をかけてくる人もいる。でも、例えばレストランでメニューが読めないから想定問答集に書いた「おすすめのものをください」って見せるわけです。すると、メニューが読めないなら食うなって、もう顔にそうはっきり書いてある。あれは心が折れたなあ(苦笑)。

さて、旅費はいかほど?

鈴木:あと、ガソリンスタンドだってほとんどがマジックミラーで中が見えなくて鉄格子がしてあってさ、前金制でお金を入れる皿が出てきて、給油後にガーンと投げるようにおつりがかえってくる。会話も一切ない。

「私は日本人です。日本からドイツまで自動車での観光旅行で、お国を通行させていただきます」と書いてあるらしい
「私は日本人です。日本からドイツまで自動車での観光旅行で、お国を通行させていただきます」と書いてあるらしい

“スマイル0円”のホスピタリティが体に馴染んだ日本人には、キツイ話ですね。

鈴木:やっぱり共産圏の時代の雰囲気が色濃く残っていますね。ウラル山脈の手前のエカテリンブルクあたりが、ちょうとヨーロッパ圏との境界線のような感じで、そこから西にいくにしたがって、だんだんと雰囲気が変わっていくのを感じます。モスクワなんてもうぜんぜん都会なわけです。

ところでお金のことをうかがってもいいですか。オトコの夢じゃないですけど、ボクも海外をクルマで旅してみたいと思ったりします。例えば鈴木さんと同じルートを走ってみたいとして、旅費っていくらくらいかかるものなんでしょうか?

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