このインタビューの最中にも、幾人もの人たちから鈴木さんは声をかけられた。ある関係者が神妙な面持ちで、「どうしてもいま鈴木さんに挨拶したいと言ってる人がいるのだが、いったんインタビューを止めてもらえないか」と話しかけてきた。鈴木さんはあとにして欲しいと言うが、その人物の名を聞けばマグナス・ウォーカーという。

 「鈴木さん、本当にマグナス・ウォーカーさん知らないんですか? インタビューはぜんぜんあとまわしでいいですから、ぜったい挨拶してきたほうがいいですよ」と思わずこちらが答えてしまった。

マグナス・ウォーカー(Magnus Walker)氏は イギリス出身のファッションデザイナー。1980年代にアメリカへ移住しアパレルビジネスで大成功を遂げ、幼少期からの憧れだったポルシェの収集を始める。初代911(ナロー)のすべての年式を所有しているとも言われ、独自の世界観で911を表現した映像を配信するなど世界的に注目されるコレクター。ポルシェ本社も一目置く存在だ
マグナス・ウォーカー(Magnus Walker)氏は イギリス出身のファッションデザイナー。1980年代にアメリカへ移住しアパレルビジネスで大成功を遂げ、幼少期からの憧れだったポルシェの収集を始める。初代911(ナロー)のすべての年式を所有しているとも言われ、独自の世界観で911を表現した映像を配信するなど世界的に注目されるコレクター。ポルシェ本社も一目置く存在だ

しかし、すごい歓迎ぶりですよね。この状況をどう思われますか?

鈴木:まったく想像していなかったよね。そもそも自己満足の旅なんだから。ただ、ゴールに到着したときに誰にも気づいてもらえず無視されたら寂しいなって思ってたけど(笑)。こんなに歓迎してもらえて、そこは素直にうれしいよね。

大きなトラブルは2回

ところで今回の旅でトラブルはなかったんですか?

鈴木:細かいのはいろいろあるけど、クルマのトラブルは2つあった。1つは燃料ポンプが壊れた。ロシアで突然エンジンが吹けなくなって止まってしまって。えぇ~っと思いながら、きっと現地のガソリンが汚くてフィルターが詰まったんだと思って原因を探って、でもわからなくて。1時間くらい立ち往生したけど、燃料ポンプ本体を交換したら直った。予備の部品を持ってたから良かったよね。

言葉もまったくわからないロシアでクルマが壊れて、よく冷静に対応できますよね。

荒涼としたロシアの地。時には未舗装路も(鈴木利行さん撮影)
荒涼としたロシアの地。時には未舗装路も(鈴木利行さん撮影)

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