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 安倍首相が9月13~15日までインドを訪問した。安倍首相の訪印は、2015年、2014年、2007年(第一次安倍政権時)に続いて4回目。また、インドのモディ首相も過去2回来日しており、両首脳の会談は今回で通算10回目となった。

インド側の大歓迎の演出

 14日に行われた首脳会談では、目下アジア情勢における最大の懸案である北朝鮮問題が取り上げられたほか、日印の「特別戦略的グローバル・パートナーシップ」をさらに推進するための経済や安全保障の協力について話し合い、共同宣言に新しい合意事項が盛り込まれた。

 最大の目玉はムンバイとアーメダバード間の新幹線プロジェクトの両首相による起工式(日本からの譲許性の極めて高い1000億円の円借款の供与も約束)であり、多くの具体的な計画が挙げられたが、ほかに注目されるのは以下の合意である。

【1】 安倍首相の「自由で開かれたインドアジア太平洋戦略」とモディ首相の「アクト・イースト」(東方戦略)推進のための「日印アクト・イースト・フォーラム」の設立。

【2】 「価値に基づいたパートナーシップ」への強いコミットメントと「ルールに基づいた」海洋安全保障協力の向上。この中には、日印間の防衛技術やデュアル・ユース技術の協力推進、米国のみならず豪州との協力も含まれる。

【3】 日印によるアフリカへの協力のための「産業回廊と産業ネットワーク」プロジェクト推進。

【4】 東北インドへのアクセス(連結性)と開発促進のための道路建設に386億円の円借款の供与。

【5】 原子力の平和利用における協力強化のため、作業部会を設置。クリーン・エネルギーなどについても種々の計画を推進。

【6】 日本の得意とする「モノづくり」をインドで推進するための「モノづくり」学校の設立合意。すでに、各州で4校が開校しているが、さらに増設。

【7】 インドでの日本語教育推進のために、5年間で、100の高等教育機関で認証日本語講座を設立し、1000人の日本語教師を育成。

【8】 観光促進のために日本政府の観光局(JNTO)をデリーに設置するほか、さらなるビザの緩和、観光ビジネス協力を推進。

【9】 オープン・スカイ合意により、両国間の航空便を自由化する。

【10】 日印両国の友好の象徴として、ヴァラーナシ(ベナレス)に最先端のコンベンション・センターを建設することに合意した交換公文に署名。(注:ヴァラーナシはヒンドゥ―教の最高の聖地、その郊外には悟りを開いた仏陀が最初に説法(初転法輪)を行った仏教の聖地サルナート(鹿野苑)があり、日印の精神的絆を象徴する場所である)

 しかし今回の安倍首相訪印で何より印象的だったのは、インド側の大歓迎ぶりである。到着地となったアーメダバードの空港にはモディ首相が直々に出迎えた。そして安倍首相夫妻はモディ首相とともにスズキ・ジムニーの荷台に乗ってパレードへ。沿道では日の丸の小旗が振られた。日本からの経済協力や投資促進、そして中国のけん制など、思惑の一致する両国の親密ぶりを示す演出だったと言えるだろう。