社員の起業、恐れず対応を

 解決策としては、経営者の意識を変えていくことが不可欠だ。副業・兼業を行うことで、従業員は他社と自社をより比較することとなる。労働環境や給与水準が極端に違えば、当然ながら従業員の移転問題が発生する。また従業員が新しいビジネスモデルを思いついて起業する可能性がある。しかしながらその際、企業が資金面、取引面、人材面などの様々な点でバックアップをし、資本提携または業務提携につながれば、両社が成長・発展する可能性があるのではないか。そのため、経営者は、社員の独立を恐れず、今まで以上に自社の労働環境や給与水準を改善して魅力のある企業にする努力をしなければならない。

 それぞれスキルや労働条件が異なる人がいる中で強引に副業・兼業を進めようとすると、労働者サイドからは「非正規社員がさらに増える」「生活のために長時間労働が必要となるのではないか」という不安の声が高まる。一方、経営者サイドからは「自社で育成してきた優秀な人材が他社に流出してしまうのではないか」という危惧から、慎重論が出てくる。

 繰り返しになるが、非正規社員が増えることは、個々の企業の生産性を短期的には高めることにつながる。ただ、アプトプットの増加にはならない。国全体のアプトプットの増加による中長期的な生産性を高めるためには、個人の自己責任にせず、非正規社員1人ひとりのキャリアプランを考えた人材育成・能力開発の仕組みを整備する必要があるだろう。また、潜在能力を持っている優秀な社員が副業・兼業をすることで、新しいイノベーションが生まれる可能性がある。その可能性を狭めてはいけない。

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