日本らしい「働きがいのある会社」の姿

 GPTWが日本で調査をスタートしてから12年が経過した。

 この間、私たちはいろいろな企業と接する中で、日本企業が日本らしい「働きがいのある会社」を実現する上で、一体何が必要なのかを問い続けてきた。今もその答えははっきりとは見えていないが、活動を重ねる中で、少しずつわかってきたこともある。

 それはやはり、「日本ならではの強みを生かすこと」にヒントがある。具体的には、「流動的な役割設定・遂行と、ハイコンテクストカルチャー(共有する価値観・背景)をベースとしたチームワークや絆の強さ」ではないか。

 例えば、日米の調査結果を比較すると、「責任のある仕事を任されている」という項目については、日本のベストカンパニーのほうが相対的に高い。これは、日本が「就社志向」「能力主義」であることと関係している。日本企業は、欧米企業と異なり、職種別の採用などはごくわずかで、多くの新入社員は「就職」ではなく「就社」をする。職務を明確に定義する「ジョブ・ディスクリプション(職務内容記述書)」は一般的には使われず、職務は固定でないことが多い。職能資格制度のもと、能力のある人には難しく、責任のある仕事が任されていくという柔軟な運用が行われており、仕事の内容は常に流動的だ。

 責任ある仕事を遂行できているとの実感は、会社に対するロイヤルティーを生むベースになる。責任のある仕事には、責任の重さに比例して意思決定の裁量もある。そのため、仕事を面白いと感じる機会は広がる。また、自分の能力を適正に評価された上で仕事を任されていると感じられることも、自尊心や自己肯定感の向上につながる。

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