この数年、企業の「働き方改革」はある種のブームとなり、それに関する話題が毎日のように各社から発信されるようになった。だが、世界中で「働きがいのある会社」の調査・分析をしているグレート・プレイス・トゥ・ワーク(GPTW)のデータで世界と比較してみると、日本企業は「働きがい」という点において世界標準からはかなり立ち後れていることがわかる。そこで、この数年の「働き方改革」を総括するとともに、この先、日本企業が真の「働きがい」を実現するにはどうしたらいいのかを考えてみた。その第1回。

そもそも「働き方改革」とは何を目指すべきなのか

 この数年、ある種のブームになっていた「働き方改革」だが、実際には、従業員の働き方にどのような変化をもたらしたのだろうか。

 この数年の各社の「働き方改革」に関する取り組みを調べて分類してみると、その多くは「時間」と「場所」に焦点を当てた施策であることがわかる。

 具体的には、「時間」に関しては、(a)働く時間の自由度を高める(例:コアタイムなしのフレックスタイム)、(b)休暇を取りやすくする(例:部下の休暇取得をマネジメントに義務づけ)、(c)早帰りを促進する(例:残業の事前申請)(d)働く日時のバリエーションを増やす、「場所」に関しては(a)オフィスの場所を考える・増やす(例:サテライトオフィス)(b)働く場所の自由度を高める(例:在宅勤務やテレワーク)などに分類できる。

 こうした取り組みは、この1~2年で加速度的に(特に従業員数が1000人以上の大企業で)広がっており、一定の成果が表れていると言えよう。

 また、「働き方改革」に対する盛り上がりは、ダイバーシティー(日本においては「女性の活用」と狭く捉えている企業が多い)の浸透を後押ししている。これまでの画一的で固定的な労働環境を見直し、より多様な人材が企業において中長期にわたり働き続けられる環境を提供しようと取り組む企業が増えつつある。これらは望ましい変化だ。

 だが、残念ながらポジティブな話ばかりではない。せっかく「働き方改革」に取り組んだのに、うまく進んでいないケースもしばしば見かける。さらに、私たちが危惧しているのは、見かけ上、「働き方改革」が進んでいるのに、実際には、従業員の「働きがい」が一向に上がっていないというケースだ。

 では、そもそも「働きがい」とは何なのだろうか。

 私たちは「働きやすさ」と「やりがい」の両方が揃っている状態と考えている。

 「働きやすさ」は「従業員が快適に働き続けられる環境」を指し、就労環境や労働条件と大きく関係している。働きやすさを向上させる施策は、「労働時間の短縮」「有休消化率の向上」「報酬の水準引き上げ」など、いずれも成果が目に見えやすい。

 一方、「やりがい」は「従業員の仕事に対するやる気やモチベーション」を指し、仕事そのものや意味づけ、自身の成長感、承認(上司や他人から認められること)などと関係している。やりがいを向上させる取り組みや成果は、目に見えにくいものだ。

 目に見えないものは、変えにくい。目に見えないものは、マネジメント(管理)の手がかりが見つけられないからだ。

 もうすでにおわかりと思うが、この数年の日本企業の「働き方改革」は、「働きやすさ」の改善に終始しているところが多い。

■図 「働きがい」と「働きやすさ」「やりがい」の関係性