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 マンガーが金融業界で一目置かれる存在になったのはなぜか? 投資手法や運用技術に秀でていたことは確かだが、それだけではない。マーケットやビジネス、人間心理に対する深い洞察力、自らを律する厳しい倫理観、そして何よりも人生を楽しむというポジティブな姿勢が、彼を成功へと導いたのである。

大富豪ウォーレン・バフェットのよき相棒、ときには指南役として、世界最大級の投資会社バークシャー・ハザウェイの繁栄に尽力してきたチャーリー・マンガー。(写真:AP/アフロ)

デリバティブは「盗みをするための免許」

 バフェットもマンガーも、レバレッジ、すなわち借金をして行う投資を好みません。とくにマンガーは、銀行をはじめとする金融機関がレバレッジを拡大してビジネスを行うことに対して批判的です。デリバティブ(金融派生商品)もレバレッジの産物ですが、「デリバティブは盗みをするための免許のようなものだ」とまで言っています。

 そもそも金融マンのビジネスモデルは、レバレッジを利用して顧客や自分が勤める金融機関の株主に大きなリスクを取らせ、結果として利益が出たらその一部をボーナスやストックオプションなどの形で獲得し、損失が出たら、それを顧客、株主、あるいは政府に押しつけるという、いわばギャンブルの代打ちのような仕組みなのです。そして、このビジネスモデルはレバレッジの拡大によって驚くほど儲かるので、金融マンはこのモデルから離れることができないのです。

 マンガーの理解によると、経済に循環的金融危機が訪れる原因は、銀行がレバレッジを拡大しすぎることにあり、レバレッジが行き過ぎることによってバブルが起こり、これが崩壊して景気後退と株価暴落がもたらされます。彼は、「銀行が自らを律することができるとは、とても考えられない」と述べていて、自由市場が常に健全だとは限らないとも考えています。つまり、現在の資本主義システムには弱点があると見ているのです。