たとえばコカ・コーラ社は、いわゆるコーラのみならず、多数の清涼飲料水商品をラインナップしていてそれぞれの商品で大きなシェアを持っています。加えて同社は、高い知名度と強力なブランド力、さらに規模や経験を背景とするコスト競争力と、高度なマーケティング技術を有しています。清涼飲料水の業界では、5年や10年に一度くらいの割合で、ペットボトル入りのウーロン茶とか緑茶のようなヒット商品が生まれてきました。仮にシェア下位企業や新規参入者が新しいヒット商品を出したとしても、コカ・コーラ社は同様の製品をすぐに作ることができますし、これを効果的にマーケティングすることもできれば、コスト競争で勝つこともできます。そのため競合他社がコカ・コーラ社の優位性を崩すことは容易ではありません。

 そこでマンガーはバフェットとともに、こうした強い会社の株式を――願わくは安く買おうと思いつつも――いったん買ったなら辛抱強く持ち続けて大きな投資成果を上げようとしてきたのです。

分散を嫌い、少ない銘柄で大きく勝負する

 さて、投資家としてのチャーリー・マンガーを一言で評するなら、「並外れた胆力のある、熟考する勝負師」ということになるでしょう。これまでに彼が発してきた言葉の端々には──おそらくポーカーの経験を通じて醸成されたと推測されるのですが──勝負師のスピリットを感じます。

 運用者としてのマンガーは、凡庸を嫌って分散投資を避け、偉大な会社であってもその株価が適正水準よりも高いと見ると買えるチャンスが来るまで数年単位の辛抱をすることがあります。そして、絶好の投資チャンスに備えて、相当の額の現金を保有して待つことを厭いません。

 これに対して運用のプロと呼ばれるファンドマネジャーの多くは、分散投資によってポートフォリオのリスクを下げることを選び、また、平均株価の上昇についていけなくなることを怖れて、現金比率をなるべく下げ、「フル・インベスト」の状態を維持しようとするのが普通です。

 こうした分散投資と現金保有に対する態度は、バフェットとマンガーが長年運営するバークシャー・ハザウェイ社の資金運用と、一般的なプロの資金運用との間に大きな違いをもたらしているポイントと言えます。