働く時間や場所の自由度を広げ、働く人たちの満足度や生産性を高めるため、「多様な働き方」が求められるようになりました。「働き方改革」の掛け声が大きくなる中で、大企業でも副業を解禁する企業が相次いでいます。もし副業が広く認められれば、多くの人の働き方に影響を与えることは間違いありません。

 では、副業についてどのような受け止め方がなされ、副業が広がるとどんな変化がもたらされるのか。昨今、なぜ副業が話題になるのか。その実態や背景について、日本生産性本部雇用システム研究センターの東狐貴一・主席研究員に寄稿してもらいました。

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日経ビジネスは、読者が自分の意見を自由に書き込めるオピニオン・プラットフォーム「日経ビジネスRaise(レイズ)」を立ち上げました。その中のコーナー「提言 私たちの働き方」では、副業や働き方改革、子育てなど、働き方にまつわる様々なテーマで議論をしています。ぜひご参加ください。

<提言 私たちの働き方>
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 子育てしやすい社会の条件って何だ??
 副業のリアル お金と時間と場所の現実
 副業は日本を救うのか?

(写真=PIXTA)

政府も副業に前向きな評価

 副業への関心が高まってきている。

 副業とは何か、法的に明確な定義があるわけではない。社会一般的な通念(広義)として副業とは、「本業とは別に副収入を得ること」であり、別の会社で社員として勤務するダブルワークやアルバイト、自宅での内職(例えば、ネットオークションでの販売、クラウドソーシングでのホームページ作成等)、さらには起業も副業に含まれると考えていいだろう。*1

*1 副業に近い言葉で、複業、あるいは兼業という言葉があるが、いずれも法律上の定義はない。実態として、これらはほぼ同義語として使用されているものとして、以下ではすべて副業として表記する。

 一方、狭義の副業は、会社の副業禁止に当たる副業、すなわち「本業の業務に支障が生じる」、「会社に損害を与える」、「会社の信用を落とす」等のいずれにも該当しないことを条件に本業以外に副収入を得ることとなる。法律上は、副業の定義がないため業務に支障が出るとは、具体的にどのようなことか、いくらの損害額を与えたときか、あるいはどのようにどれくらい信用を落とすことなのかなどについて、個々の案件ごとに最終的には裁判所が判断することになる。

 政府は、2017年3月に働き方改革実行計画を発表したが、「5.柔軟な働き方がしやすい環境整備」の中で、“副業や兼業は、新たな技術の開発、オープンイノベーションや起業の手段、そして第2の人生の準備として有効である”として、副業に前向きで高い評価をしている。それを受けて、2018年1月には厚生労働省が発表した「モデル就業規則」の第14章では、「第67条(副業・兼業)」として、「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。」としている。同じく厚労省の2016年3月版「モデル就業規則」を見ると、服務規律の第11条6項に「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」との記載があり、この2つを比較するとそれまでの副業禁止から、原則として副業容認へと方針が変更してきていることがわかる。

 では、実際の現場となる企業側や働く側はどのように受け止めているのだろうか。