メシュケ その価格帯のクルマを購入する顧客は、特別で、他とは違うクルマを求めます。そして価格と価値は顧客に対して公平でなければなりません。例えばGT2はその価値に対しての価格のバランスがとても良いと思います。GT2やGT3がこの5年、とても好調なのはそういった理由でしょう。公平、かつ最良のオファーの提供で顧客がポルシェブランドに属している感情を抱いてもらう事、それが最終的な差別化をもたらします。加えて、新しいEVとスポーツカーの適正なモデル構成が今後の成功の鍵となります。

ポルシェ911の市販ラインアップにおいて、最速の位置づけとなる「GT2 RS」。最高出力 は700 PS。0 -100 km/h加速は2.8 秒、最高速度は340 km/h!
 日本での車両本体価格は3656万円。ちなみに後ろに写っているのがトヨタドライバーの小林可夢偉選手、セバスチャン ブエミ選手、マイク コンウェイ選手。WEC第4戦の空き時間にポルシェの展示会場に見学に来ていた。3人とも興味津々の様子(写真:藤野)

 最後に、メシュケさんが個人的に好きなポルシェはなんですか

メシュケ それはやはり911ですね、中でも好きなのはタルガです。デザインがとても気に入っていますね。

レース用の「911」はミッドシップに! その理由は

 ポルシェは、今シーズン限りでWECの最上位クラスであるLMP1プロジェクトを終了すると発表はしたが、WECそのものから撤退するとは発表していない。WECには大きくわけるとLMPクラス(ルマンプロトタイプ)というレース専用車とGTクラス(市販スポーツカーベースのレースカー)の2つのカテゴリーがある。前者は開発に莫大な開発費用がかかるため新規参入が難しいと言われており、2016年にアウディが撤退して以降はワークス体制で参戦しているのはポルシェとトヨタの2社のみだった。

 一方でGTクラスは、市販車ベースゆえ比較的リーズナブルな予算での参加が可能で、また2017年シーズンより正式に世界選手権とFIAに承認されたことで、ワークスチーム(LM GTE PROクラス)としても、ポルシェ(911)はもとより、アストンマーティン(ヴァンテージ)、フェラーリ(488)、フォード(GT)がシリーズ参戦。またルマン24時間レースにはシボレー(コルベット)もスポット参戦して、今年も最終ラップまでアストンマーティンと接戦を繰り広げ大いに盛り上がった。来シーズンからはBMWが参戦すると発表されている。

WECのGTE PROクラスに参戦する各社のマシン。左からポルシェ、フォード、フェラーリ(写真:John Rourke)

 近年のGTクラスは実力均衡でポルシェも苦戦を強いられてきた。そこで2016年はワークス活動を一時休止して、マシンの開発に専念。そこでポルシェが選んだ術は、911をミッドシップ化するというものだった。RR(リアエンジン・リアドライブ)方式の掟を破り、“ミッドシップ911”を開発するという重大事項はどのような経緯で決断されたものなのか。ポルシェAGのモータースポーツ部門トップであり世界各国のGTスポーツならびに市販GTモデル開発の責任者、Dr.フランク=シュテフェン・ヴァリザーに話を聞いた。

ポルシェのモータースポーツ部門主任
Dr.フランク=シュテフェン・ヴァリザー

Dr.Frank Walliser
Head of Porsche Motorsports From the road to the race track:the 911 for customers and racing(写真:藤野)
1995年にヴァイザッハ研究開発センターに入社。市販車の開発を経て2003年、モータースポーツプログラム統括マネージャーへ就任し、RSスパイダーでアメリカン・ル・マン・シリーズで3度のタイトルを獲得。その後、ふたたび市販車開発に着手し、918スパイダーの開発指揮を執る。2014年より現職を務め、世界各国のGTスポーツならびに市販GTモデル開発の責任者として、モータースポーツと市販モデル開発の両立を目指す

 911をミッドシップ化するのはどういった経緯で決まったことなのでしょうか。