メシュケ 我々はポルシェ エクスペリエンスセンター(写真参照)を2017年12月に上海に建設し、そこで本物のスポーツカーを運転する機会をたくさんの人たちに提供します。そしてポルシェのクルマにはスポーツカーのDNAが組み込まれていることを感じてもらうのです。中国においてもスポーツカーの販売台数はとても重要で、我々はスポーツカービジネスへの投資を継続していきます。

米国ロサンゼルスのポルシェ エクスペリエンスセンター。新車の納車や博物館、レストラン、またオンロード、オフロード両方のドライブトレーニングが可能なテストコースを併設するポルシェの体験型拠点。上海はアトランタ、ロサンゼルスに続き世界で3番目となる

 具体的な911の販売台数の目標はあるのでしょうか。

メシュケ スポーツカー全体の売上をこの2年で倍にしたいと思っています。

 そうした中で、ポルシェのWECからの撤退が噂されていますね(*)。莫大な予算を投じていると思いますが、ポルシェにとってレースに参加することがどれぐらい大切で、いつまで続けるのでしょうか?

*このインタビューは、今年のルマン24時間レースでポルシェが勝ったのちの7月中旬に行われたものだ。ポルシェはこれまで、「2018年まではWECに参戦する」と表明していたが、実は今年のルマンの頃にはWECから撤退するのではないかという噂があった。

メシュケ レースは私たちのDNAの一部であり、スポーツカーメーカーとしてレースへは参加し続けなければいけないと思います。参加することで市販車開発につながる知見も得られます。ですから4年前にWECへ復帰したことは正しい決断だったと考えています。その一方でこのレースへの参加を続けるのか、別のステップ、例えば「フォーミュラ E」などに進むべきなのか、社内で協議するタイミングとも考えています。とにかくまずは我々のWECでのタイトル防衛ですけどね(笑)。

 その決断はいつされるのでしょうか。

メシュケ 最終的な判断は役員会がこの数か月のうちに下すでしょう(*)。

*このインタビューから約2週間後、ポルシェは、今シーズン限りでWECの最上位クラスであるLMP1プロジェクトを終了し、フォーミュラEに参戦することを明らかにした。

電動化は必須のソリューション

 先日、フランス政府が既存のエンジン搭載車の販売を2040年までに禁止するという報道がありましたが、ポルシェとしては電動化をどのように進めていくのでしょうか。

メシュケ 多くの欧州諸国ではロードプライシングなど、大都市へのクルマでのアクセスを制限しており、今後EVやハイブリッド車への投資はさらに必要になってきました。我々の2025年までの目標は、最低でも50%のポルシェ車をプラグインハイブリッドかピュアEVにする事です。そして「ミッション E」(写真参照)を2019年の終わりには年間2万台販売する計画です。その次にはSUVへの展開について検討します。おそらく、ピュアEVのSUVは、次世代のマカンが良い選択になるだろうと考えています。

 欧州市場だけでなく、中国、特に上海や北京等の大都市でエンジン車の使用が限定される事への準備が必要です。電動化は持っていなければならないソリューションの1つであることは間違いありません。

ポルシェ初のEV「ミッションE」のコンセプトモデル。市販型は9月12日に開幕するフランクフルトモーターショーでお披露目される予定

 ただ、ピュアEVは、ポルシェの愛好家が求めるような水平対向エンジンといった独自性が打ち出しにくく、コモディティ化してしまう懸念があると思います。その点はどのように違いを打ち出していくのでしょうか。