アレックス:74年式カレラのタルガです。実はわたしは76年生まれなんですが、まだ両親はそのクルマを大切に所有しています。子供の頃は、シートに座って革の匂いを嗅ぐのが好きでした。父は年間走行距離は1000キロまでと決めていて、したがってこのクルマは44年経った今でも走行距離は4万3000キロ、新車購入でレストレーション歴もない。結婚プレゼントとして、両親はとても愛情を持っています。

そしていずれはアレックスさんが譲り受けると。ホントにいい話ですねえ。ところで、本題に戻りますが、ポルシェAGは莫大な数のクラシックポルシェを所有していますけれど、どうやって集めているのですか? 一般の市場からも購入してくるのですか?

アレックス:古いモデルに関してはそういうこともあります。最初にコレクションと言えるものが始まったのは1966年でした。ポルシェが所有していたレース車両を「ポルシェ コレクション」と呼んで、76年には、小さなガレージに陳列を始めました。現在の最新モデルに関しては生産ラインから車両を得ています。ただし、これにはルールがあって、顧客からの注文があればそれを優先する、ということです。なので、主にコレクションになるのは量産直前の車、プロトタイプ車が対象になります。まだ我々のコレクションは欠けているモデルもありますので、チャンスがあれば購入もしていきます。

ミュージアムが所有するレーシングカーの数々。1970年の917Kにはじまるルマンウィナーカー

ロットナンバー「0」から日本のGT2レースカーまで

ちなみに最近はどんなモデルを購入したのですか?

アレックス:昨年、2017年になりますが、ある日本チームのGT2と、それにフランスチームから934など、3台のレースカーをコレクションに追加しました。私たちはどの車両がどこにあるのかをほぼ把握していますから、予算的に可能と判断すれば購入を決定します。この方法以外は先ほどご説明したとおり、通常は量産前のものを手に入れています。例えばGT2RSなどの限定モデルの場合は、顧客用の番号は「1」から始まりますので、我々に割り当てられるのは、「0」番になります。

ちなみに予算はどれくらいあるのですか?

アレックス:具体的には言えません(笑)。ただ現在のポルシェミュージアムは今年で10周年を迎えます。展示内容が毎年充実しており、今はチャンスがあれば購入できるいい環境ができています。ポルシェは自社の遺産やルーツをとても大切にする考えを持っていて、コレクションのギャップを埋めるためには、より大きな資金を投入していきます。

いま欲しいモデルはあるのでしょうか?

アレックス:まだまだいろいろありますね。我々の仕事はこれまでのフルラインアップをそろえる事で、私が担当になって6年の間に17~20の車両を購入し、大変満足しています。2台の901、934、RSR、550スパイダーなどなど、とても素晴らしいモデルばかりです。そしてポルシェは自社の最初の1台を所有しています。これはメルセデスやフォードでさえ実現できていない、とても貴重なことなのです。

あのミッドシップの356第1号車ですよね? ずっと保管されていたのですか?