アレルギーにもヨーグルト

 明治や雪印メグミルクが乳酸菌の中から特定の効果が見込める菌株を探し当てたのに対し、1970年代から商品化しているビフィズス菌の研究を深化させ、新しい効能を見いだしたのが森永乳業だ。

 「腸内環境を改善することで、ビフィズス菌がアレルギー症状の低減にも効果を発揮していることが分かってきた」と森永乳業素材応用研究所の岩淵紀介・主任研究員は話す。

花粉症の症状が緩和
●ビフィズス菌BB536株の粉末とプラセボ粉末を摂取した際の自覚症状の比較(13週間摂取)

 同社が注目している菌はビフィズス菌「BB536株」。この菌株を継続的に摂取すると、日本人の4分の1が悩んでいると言われる花粉症の症状を和らげることができるという。

 44人の花粉症患者を2つのグループに分け、スギ花粉が舞い始める1カ月前からBB536株の粉末とプラセボ粉末をそれぞれ摂取させた。するとBB536株の粉末を摂取したグループはプラセボ粉末のグループに比べ、くしゃみや鼻水、鼻詰まり、目のかゆみといった症状が緩和されたという。

森永乳業の「森永ビヒダス」が含有しているビフィズス菌「BB536株」は腸内環境の改善により花粉症の症状の緩和も見込める

 BB536株が花粉症の症状を緩和するメカニズムにはまだ不明な部分が多いが、大腸に存在するバクテロイデス・フラジリスと同インテスティナリスという2つの菌に対して、BB536株が働きかけた結果ではないかと同社は推測している。

 花粉が多く飛ぶ時期、症状に悩む人の腸内を同社が検査すると、フラジリス菌とインテスティナリス菌が増加しており、これらの菌が症状を悪化させている可能性があることが分かった。さらに同社はBB536株の摂取を続けると、この2種類の菌が減っていくことも明らかにした。

 「ビフィズス菌は代謝産物として乳酸に加えて酢酸を作り出す。後者は乳酸菌にはない特徴だ。アレルギーを抑制する効果が知られており、これが(症状の緩和に)影響している可能性がある」と岩淵氏は指摘する。

 ヨーグルトに含まれる乳酸菌やビフィズス菌が、どのようなメカニズムでヒトに効果を発揮しているのか。まだ完全に解明されたわけではない。そもそも、地球上には人類が発見していない有用菌がまだまだ存在している。新しい効果を持つ菌が発見されたり、既に知られた菌に思いもよらぬ効果が見いだされたりすることは今後も十分にあり得ることだ。

 機能性ヨーグルトに関する研究はまだ緒に就いたばかり。メーカーによる、「金」ならぬ「菌」探しの競争は激しさを増しそうだ。

(日経ビジネス2016年6月6日号より転載)