「私大の両雄」としてライバル関係が何かと話題になる早稲田と慶應。受験、学生生活、就職など、実際のところはどうなのか。現役学生や卒業生への取材、各種統計データの収集・分析により、徹底比較を試みた『早稲田と慶應の研究』という新書を著したオバタカズユキ氏が、現役生、OB、OGを集めて改めてそれぞれの思いを聞き出した。
早慶比較もさることながら、親世代と現役学生との「常識」の違いが興味深い。20~30年前と今とでは、学生が大学に抱くイメージからしてもう違う。学生気質もかなりの変化を見せつつある。慶應に比べ、より世代間ギャップが際立った早稲田大学の座談会をお読みいただこう。場所は、学内情報誌を発行している「マイルストーン編集会」の「作業部屋」をお借りした。
【座談会参加者】
浪山凌志さん (社会科学部3年、早稲田大学高等学院)
上原崇雅さん (教育学部理学科2年、首都圏の私立中高一貫校)
福西律子さん (政治経済学部経済学科2年、首都圏の私立中高一貫校)
徳永修さん (87年政治経済学部卒、ネットコンテンツメーカー代表・大学教授)
小暮真紀子さん (95年教育学部卒、図書館支援員)
進行:オバタカズユキ(『早稲田と慶應の研究』著者)
慶應編はこちら。
・「え、ケイオーは関西じゃマイナーですか?!」(慶應・前編)
・慶應生が目指すのは「コスパのいい人生」か?(慶應・後編)
昔の早稲田は荒れていた!?
オバタ:この本の冒頭でも書いたんですが、我々の世代だと、早稲田と言えば「バンカラ・在野精神・反骨心」が象徴的な言葉として挙がってくる。ところが、今回の本の取材で現役早大生にこの言葉をぶつけてみたら、「ん?」「なんですか、それ?」みたいな反応が多くて、だいぶショックだったんです。昔と今ではこんなに違うのかって。皆さんはどうですか、たとえば「バンカラ」という言葉は?
学生浪山:僕は早稲田学院出身というのもあるかもしれませんが、昔の校風はそうだったという話はよく聞きました。でも、それは今とは関係ないんじゃないかと思ってて。だから、昔は荒れてた時期もあったのかなというくらいで、別に。
オバタ:え、荒れてた!?
OB徳永:バンカラって、荒れてるっていう認識なんだ!?

学生浪山:ああ、「荒れてる」は違うかもしれませんね。ただ、今のほうが真面目というか、ちゃんとはしてるかなって気はします。
OB徳永:そうかぁ。でも、30年前の僕たちの頃だって、すでにバンカラなんていなかったわけで。『青春の門』(五木寛之著)を読んで早稲田を目指した世代より前の、『人生劇場』(尾崎士郎著)を読んでた世代の話だよね、バンカラって。
オバタ:ですねえ。とはいえ、早稲田の探検部だったノンフィクション作家の高野秀行さんとかは徳永さんのちょい下世代でしょ。彼の書いた『ワセダ三畳青春記』を読むと、当時はまだまだバンカラのイメージが残っていて、それを追っかけてる人もそれなりにいたと思うんですが。
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