火を使わずに電気で加熱する「加熱式たばこ」が国内でヒットしている。有害物質の少なさが特徴で、各社は喫煙スタイルや加熱法に工夫を凝らす。ただし健康への影響は不明なままで、規制次第では普及拡大を左右しかねない。

(写真=bloomberg/Getty Images)
東京・銀座の「IQOSストア銀座」には、アクセサリーなどを求めて多くの喫煙者が足を運ぶ(写真=陶山 勉)

 JR有楽町駅から徒歩約5分。高級ブランドが並ぶ銀座2丁目の“ある店舗”は、平日にもかかわらずビジネスパーソンやカップルであふれ返っている。

 「IQOSストア銀座」。「マールボロ」ブランドを展開するフィリップモリスジャパン(PMJ)が今年3月にオープンした、加熱式たばこ「IQOS(アイコス)」の旗艦店だ。1階ではアイコス本体の予約販売や専用ケースなどの販売、修理受け付けなどに対応、2階ではカフェスペースを展開する。オープンから2カ月半足らずだが「平日の来店客は300人を超える」(PMJ)という。

 カフェや居酒屋、屋外の喫煙スペース……。今や街の至る所で使用する光景を目にするようになったアイコス。火を使わずに電気的にたばこ葉に熱を加え、発生したニコチンなどの成分を含む蒸気を吸う「加熱式たばこ」と呼ばれるジャンルの商品だ。

 世界に先駆けて2014年11月に名古屋市で試験販売を開始。昨年4月から全国販売に踏み切った。今年3月末の段階で「アイコス本体の販売台数は300万台以上、専用たばこ『ヒートスティック』の販売本数は国内たばこ市場全体の約1割を占める」(PMJリデュースドリスクプロダクツの續木梢ブランドマネジャー)という。

 ライバルも巻き返しに動く。「メビウス」ブランドを手掛ける日本たばこ産業(JT)は、今年6月から東京で「プルーム・テック」を販売する。昨年3月から福岡市のコンビニエンスストアなどで販売したところ人気が沸騰。最大消費地である東京に乗り込む。「ケント」ブランドを展開するブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン(BATジャパン)は昨年12月から、仙台市で「glo(グロー)」を販売中だ。

 JTは18年上期、BATジャパンは17年中にも加熱式たばこの全国展開を計画する。大手3社が出そろえば販売競争がさらに過熱しそうだ。