カニバリを気にせず新事業を立ち上げてきた

 求人専門検索エンジンを運営する米インディードの買収は、2012年に行ったが、まさにそれだ。以前から我々は社内のカニバリを気にすることなく、新事業を立ち上げてきた。

 会社としては、自由にお互い競争させて、優れたもの、ニーズにマッチしたものが自然と消費者に選ばれ、残っていくと考えている。

 長期的に見れば、インディードは国内の既存のサービスにとっては破壊者になり得るだろう。しかし、我々は3年前に「2020年にHR(人材)ビジネスの分野でグローバルナンバーワン、2030年には販促の分野でもグローバルナンバーワンになる」というビジョンを掲げた。我々がフォーカスする領域で、トップレベルの優れたエンジニアをいかに集めるか、AI時代にそうしたエンジニアの力でレバレッジするための(収益)エンジンを持っているかが重要だ。インディードは、世界のトップエンジニアたちが活躍する舞台になっている。買収した理由の一つはそこにあった。

「トップレベルの優れたエンジニアを、いかに集めるかが重要」
「トップレベルの優れたエンジニアを、いかに集めるかが重要」

買収して5年、インディードの売上高は12倍に。

 もともとポテンシャルがある企業だが、テクノロジードリブンでスタートしているので、どうしてもマーケティングやセールスが二の次になる。我々が持つマネタイズノウハウを提供したことで、急成長を実現できたと考えている。

 我々は、もともと西欧的な人事制度・仕組みを採用してきた。いわゆる成果報酬型を導入している。ミッションを与え、そこへの達成に応じて報酬が出る。

 年功序列ではない。個人の活躍度にフォーカスするシステムになっているので、AIというテーマで、優れた人材にジョインしてもらえるかを考えたときにも、人事制度を柔軟に適応させていくことができた。

 また、エンジニアにおいては優れた人材をリスペクトする形で優れた人材が集まる環境を作ることが肝であると分かった。2015年に、AI研究所(Recruit Institute of Technology=RIT)を設立し、米グーグルのトップリサーチャーだった、AIサイエンティストのアロン・ハレヴィ氏を招聘することにした。いま彼の下には10人ほどの優秀な人材が既に集まりつつある。

 重要なのは、企業が持つポテンシャルもそうだが、そういう人材から見た魅力的なデータ、そして魅力的なミッション、機会を提供できるかどうかに尽きる。

 そういう意味で、ハレヴィ氏はAI研究所の所長として大きく2つのミッションを持っている。1つは、AIをベースにした事業ができないかという彼の夢を追いかけていくことだ。

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