飯田:立派ですね。でも私、梅田さんにお会いしてね、こういった感性や知性を実務ですり減らしてほしくないと思いました。

梅田:そう言っていただけると、すごくうれしいです。もう毎日すり減らしていますからね(笑)。やる気、やる気だけですね。そればっかりは、すり減らそうと思っても、手前にやらないといけないことがあるので。

飯田:まだお若いから何となく全部回せちゃうんでしょうけれど、40代になると大変です。自分のどこを削って仕事をしていくかって、結構重要ですよね。
 梅田さんは落ち着いていらっしゃるけれど、すっごい野心家でいらっしゃるでしょう?

梅田:恐らくそうだと思います。

飯田:そういう人が実務で細かいところで疲れたり、すり減ってしまったりするのは、私はもったいないなと思うんです。

梅田:飯田さんのその考え方は素晴らしいと思います。広告ってやはり、人との関係の中とか生活の中で機能するべきものなので、ちゃんと生活していることがベースにないと、いいものって作れないはずだと思うんですよ。
 普通に生活している人たちがいちばんいい広告を作れるはずだという前提に立たなければならない時代にもなってきていますし。

「育休」に代わる言葉を

飯田:そういえば私、「育休」という言葉はよくないと思うんです。「休む」っていう字を使っているのがよくない。

そうですよね、休んでいませんし。

梅田:終わりのない仕事ですよね。

飯田:通常の仕事ができないくらい家庭が火の車だから、仕事をちょっと中断させてくださいという特別な期間なのに、「休む」とか書くから、「お前いいな、子どもと二人、のんきに遊びやがって」といったふうになって。
 よくないです。あのネーミングを変えなきゃいけない。

お二人で「育休」に代わる適切な言葉を考えたらいいんじゃないでしょうか。

飯田:ね。あれは「育働(いくどう)」だと思います、本当に。

梅田:今まさにその「育休」を一つのキャリアとして考えようといったことが言われるようになってきましたね。
 どんな会社も人の生活の上に成り立っていて、誰かからお金をもらうことで成立しているとするならば、生活を基盤にしないとおかしいんです。B2B企業だろうと、B2C企業であろうと、人の生活の役に立ってお金をもらっていることに代わりはありません。ですから、ちゃんと休んで、ちゃんと仕事をして、正当に評価をされるというのが望ましい姿だとは思いますけど。

飯田:そうですよね。それがなかなかね。

梅田:なかなかね。なかなかなんですよね。

(続く)