6つのセグメントに分けてマーケティング

 同「マッキンゼーとファッション業界による調査」によると、ファッション業界は6つのセグメントに分けてマーケティングされています。「Luxury」(CHANELなどで315ドル以上)、「Affordable Luxury」(ToryBurchなどで156-315ドル)、「PremiumBridge」(Nikeなどで96-155ドル)、「Mid-Market」(Zaraなどで41-95ドル)、「Value」(TJ Maxxなどで21-40ドル)、「Discount」(Primarkなどで20ドル以下)。

 さらにカテゴリーも洋服、靴、スポーツウェア、バッグ、時計や宝石、その他と分けられ、どの分野で伸びているのかも分析します。欧米やシンガポールではこのように非常に細かく消費者のニーズをセグメンテーションしているのです。

 例えばシンガポールでは銀行、レストランなども預金残高や支払い額に応じて受けられるサービスが変わり何段階にも分かれています。アパレルやモールのメンバーシップ制度も多く、一般に売上高に応じて4~5段階程度に細かく分かれています。上位メンバーシップだとイベントへの招待や修理の無料、割引や先行セールの案内など様々なサービスを受けることができるようになっています。このように優良顧客に対してはサービスの提供によってオンラインとの差別化を図っているのです。

 実は日本ブランドでもシンガポールで非常に人気の高いブランドがあります。

 YOHJI YAMAMOTO、COMME DES GARCONS、ISSEI MIYAKE 、SACAIなどです。シンガポールの富裕層もBAOBAOのバッグは気軽に持ち歩くバッグとして利用している人も多いです。   

 SACAIはシンガポーリアンやフランス人の熱烈なファンがいて、シンガポールで行われたファッションショーに行った時に来季の商品を注文している人も多く目にしました。SACAIの商品は一つ一つ手作りで、細部にまでこだわりと魂がこもっていると感じます。こだわりの強い富裕層にもその情熱が伝わり、DIORのオートクチュール商品と戦うことができる日本ブランドとして今後の成長にも期待できそうです。

DOVERSTREET MARKET SINGAPOREでSACAIのモデルのランウェイがあり、シャンパンと軽食が提供された
DOVERSTREET MARKET SINGAPOREでSACAIのモデルのランウェイがあり、シャンパンと軽食が提供された

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