ターミナル段階

 ミッドコース段階でSM-3による迎撃を試みると同時に、その弾道ミサイルが撃墜されずに引き続き飛翔して大気圏内に突入することが予測されれば、陸上への着弾を防ぐ最後の「手足」としてTHAAD(Terminal High Altitude Area Defense:ターミナル段階高高度地域防衛)およびペトリオットPAC-3を発射する。

ターミナル段階
大気圏に突入して着弾するまでの段階
大気圏に再突入した弾頭には2種類の迎撃ミサイルで対処。高高度はTHAAD、中低高度はペトリオットPAC-3を発射
大気圏に再突入した弾頭には2種類の迎撃ミサイルで対処。高高度はTHAAD、中低高度はペトリオットPAC-3を発射
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地対空ミサイル「ペトリオットPAC-3」は日本全国6カ所に配備され、機動展開が可能(写真=AP/アフロ)
地対空ミサイル「ペトリオットPAC-3」は日本全国6カ所に配備され、機動展開が可能(写真=AP/アフロ)
THAADは韓国での配備が始まった(写真=AP/アフロ)
THAADは韓国での配備が始まった(写真=AP/アフロ)

 THAADは、大気圏に突入する直前および直後の高度約100kmの高層にある弾道ミサイルを迎撃することが可能とされ、SM-3と同様、弾道ミサイルへの直撃によって破壊または軌道変更を試みる。ミサイル本体はトラックに積載され、Xバンドレーダーおよび射撃に必要な指揮管制システムも積載したワンパッケージとなっている。このため、必要に応じて各地に展開が可能となっている。

 ターミナル段階では、弾道ミサイルはかなりの高速で大気圏内を突き進むため、THAADでの迎撃と同じタイミングで、最後にペトリオットPAC-3で撃墜を試みることとなる。PAC-3は、元来、航空機を撃墜することが主任務であったペトリオットPAC-2を改修し、展開する地上部隊などを弾道ミサイルから守るために能力向上させたもの。THAADと同様、弾道ミサイルへ直撃させることにより破壊を試みる。

 ターミナル段階では、弾道ミサイルの突入速度が高速となるため、撃墜の難易度が上がってしまう。バドミントンで例えれば、頭上に高く上がったシャトルを相手コートに打ち返そうとするのがミッドコース段階での対処である。ターミナル段階は、相手からの強烈なスマッシュを何とか体の手前で打ち返すギリギリの状態のようなものだ。というのも、弾道ミサイルは、宇宙空間で最大マッハ20程度まで加速し、そのまま大気圏内に突入してくるため、THAAD・ペトリオットPAC-3であっても高速の目標を広範囲でカバーして対処するのは容易ではない。

 日本は、以上の弾道ミサイル防衛システムのうち、警戒管制レーダー(FPS-5およびFPS-3改)、イージス艦、自動警戒管制システム(JADGE)、ペトリオットPAC-3を保有し、その他は米軍と情報共有・連携しながら対処している。

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