eコマースの減速で株価は大暴落

 ここまで米国の小売り市場の変化とウォルマートの対応を中心に見てきたが、もちろん、すべてが順風満帆というわけではない。事実、今年2月に発表した2018年第4四半期(2017年11月~2018年1月)でeコマースの伸びが23%と大きく鈍化、同社の株価は過去30年で最大となる1日10%の下げを演じた。

 「クリスマス商戦のオンライン需要の増加についていけなかった」。マクミロンCEOはそう釈明したが、店舗からの出荷や受け取りの増加など加速するオムニチャネル戦略に現場がついていけていないという指摘も上がる。2019年第1四半期(2018年2~4月期)は33%と再び上昇しており、「予想通りに進んでいる」とローリィ氏は自信を見せる。だが、「対アマゾンの最右翼」という期待の源泉はeコマースの伸び。それが剥落した時の反動は大きい。

 ビジネスには自社のリソースで実現できる部分と、相手との兼ね合いで揺れ動く部分の両方がある。チームごとのカニバリズムを無視した独自の小集団経営で新しいサービスを量産するアマゾンに対して、スピード感が増しつつあるとはいうものの、200万人を超える従業員を擁するウォルマートは緻密なオペレーションを重視する伝統的な大企業である。アマゾンと比べれば、スピードや柔軟性ではまだまだ劣る。

 それでも、ウォルマートは外部環境の変化に合わせて自社で可能な部分は適切に対応している。地力を考えれば、アマゾンに対抗できるのは、やはりウォルマート以外にいない。