だが、南三陸町でのかさ上げ作業を担当する飛島建設などの建設会社から依頼を受けたエアロセンスは、「ドローンによる測量で従来比3分の1となる2週間で作業を終了。かかったコストも従来の半分程度に収まった」(嶋田取締役)。

テラドローンが、ドローンを使って測量サービスを実施している様子

 具体的には、ドローンで南三陸町の各エリアの写真を空撮し、これらをつなぎ合わせて全域を把握できる高精細な3D地図を作成。ここにCAD(コンピューターによる設計)データを重ね合わせ、それぞれの場所で必要な土の量を計測したり、実際に盛られた土が目標値に達しているかどうかを可視化するなどで、作業を大幅に効率化することに寄与した。

 エアロセンスは、まず土木や建設業界向けの測量サービスで実績を積み、インフラや工場などの点検や監視サービス、農業分野での利用など、サービスの応用範囲を広げていく計画だ。

電動バイクの電池技術を応用

 電動バイクを開発生産するテラモーターズ(東京都渋谷区)も、自社開発したドローンを使い法人向けサービスを展開するベンチャー企業だ。同社は、電動バイクに次ぐ新規事業として、専用機器と画像分析を組み合わせた法人向けドローンサービスに着目した。

 建設データ作成を手掛けるリカノス(山形市)から、ドローン測量サービス事業を譲り受ける形で2016年3月、同社と共同出資会社テラドローン(東京都渋谷区)を設立。初年度に10億円の売り上げを目指す。3月下旬から建設業界向けの測量サービスなどを開始しており、インフラや工場などの点検用途にもサービスを拡充する方針だ。

 同社は現在、親会社のテラモーターズの電動バイクで培った電池技術を応用し、長時間飛行が可能なドローンの開発を目指している。「現状のドローンはバッテリー容量の制約で、実質的な飛行時間が20分程度の製品がほとんど。今より3割程度は飛行時間が長くできるようにし、空撮作業の効率化を進めたい」(事業開発部の河越賛氏)。

 実際、ライバルとなるデンソーやエアロセンス(マルチコプター型)のドローンの飛行時間も、今は10~20分程度。法人向けドローンの課題であるため、長時間飛行の機器開発競争が今後、過熱しそうだ。

●各社の法人向けサービスで使うドローンの仕様(開発中や試験中の機器も含む)
社名 タイプ 大きさ 重さ 最高飛行速度 最長飛行時間
デンソー マルチコプター型 直径1.04m、高さ17cm 約4.7kg 約100km/時
(計算値)
約9分30秒
テラドローン マルチコプター型 全長1m、高さ約30cm 約7kg 約64km/時 約20分
エアロセンス マルチコプター型 全長43.1cm、高さ36.3cm 約3kg 約25km/時 約20分
飛行機型 全長2m程度、高さ約40cm 約7kg 約100km/時
(実測値)
数十分程度

 日経BPクリーンテック研究所の調査では、2015年の業務用ドローン市場は約30億円。2030年には1000億円を超える見込み。

 一般消費者向けドローンの製造・開発では中国のDJIなど、海外勢が先行した。だが、安定飛行の制御技術などを持つ高機能ドローンの開発では、日本勢が競争力を持つ。ベンチャーに加え、デンソーなど大手の参入で市場が活性化すれば、ドローン自体の高機能化が加速するだけではなく、その機能を生かした多様な法人向けサービスも続々と誕生しそうだ。

(日経ビジネス2016年5月9日号より転載)