「私大の両雄」早稲田と慶應。取材と各種統計データの収集・分析により、徹底比較を試みた『早稲田と慶應の研究』という新書を著したオバタカズユキ氏が、現役生、OB、OGを集めて改めてそれぞれの思いを聞き出した。慶應義塾大学の座談会、後編をどうぞ。

【座談会参加者】
  • 大江梨生さん  (総合政策学部2年、幼稚舎→塾高)
  • 西岡航平さん  (法学部政治学科2年、地元の公立小中→塾高)
  • 江波戸水紀さん (法学部法学科3年、幼稚舎→塾高)
  • 武田正則さん※仮名  (97年文学部卒、99年大学院卒、都内新聞社勤務)
  • 進行:オバタカズユキ(『早稲田と慶應の研究』著者)

オバタ:取材をした感触でいうと、慶大生は損得勘定に長けている。いろいろな局面において、どっちが自分に有利かという判断が早く、功利的というか、合理的だと思うんです。

 その際の価値基準は、収入とか、社会的地位とか。だから、社会人とも話ができる。特に3~4年の三田キャンパスでOB・OGとの交流を通じてコミュニケーション能力を身につけていく。その姿を見ていると、「コスパ人生」という価値観を多くの慶應生が持っている気がしてきます。そこは早大生とかなり違うところです。

学生大江:他の慶大生がこれを聞いたら、あまり良く思わないかもしれないですけど、慶應の学生、特に外部生には、大学に入ることがゴールと捉えている人がいっぱいいます。内部生の中にも、元々親が事業をやっていて、そこを継ぐことが決まっていたり、将来が確定されている人たちがたくさんいる。彼らには「ここから競争するのはコスパ悪いんじゃない?」という考え方をしていて、かつ、親からもそういう考え方の影響を受けていると思う。

オバタ:学生時代から保証された将来に安住している、って感じ?

学生大江:そうですね。慶應の内部生の残念なポイントとして、特に何かを考えることなく、自分の普段の成績と、「単位取りがラクだから」という内部の噂で、法政(法学部政治学科)に行く人がいるんです。「将来、これがやりたいから」ではなく、「ラクに慶應を卒業できるんだったら、ラッキーじゃん」という考え方を持っている人が多いように感じます。

学生西岡:そういう人たちは、大学に入っても無駄な授業には出ないで、友達からノートを回してもらって単位を取っています。

左から、大江梨生さん、西岡航平さん、江波戸水紀さん

オバタ:省エネモードだ。

学生西岡:そうですね。逆に、そのぶん部活に集中している内部生もいます。

OB武田:「自分の人生が自由じゃない」とも言えるんじゃないでしょうかね、自由なことがいいかどうかはわからないですけど、早稲田はアナーキーな人たちがあちこちを向いているカオスだとして、慶應の人は決められたレールを着実に歩んでいくっていう。

学生大江:慶大生は、それを不自由とも感じていない人が多いと思います。「レールに乗っかれて、そのまま行けるんだったらいいよね」って考え方が大多数です。

オバタ:大多数?

学生大江:8割、9割ですね。僕はそういうイメージです。