安定の日吉・三田、早稲田っぽいSFC
学生西岡:最初から親の企業に入るかは別として、最初は他の企業に入って、最終的には家業を継ぐんだと考えている。だから、今、大学で何を学ぼうが別に関係ないっていう発想になる。僕たち3人は「それってどうなの?」という問題意識を持っています。
学生大江:僕はそっちになりたくない人で、どちらかというと早稲田のような、自分の行動を第一義とする考え方がいいなと思っていて。
オバタ:早稲田に実際そういう主体的な学生が多いかっていうと疑問符がつきますけれども、慶應と比較するとたしかに生き方の幅が広い気がしますね。
学生大江:内部からSFCには成績が低くても行けるんです。でも、内部生で成績が低くないのにSFCに行く人達の中には……。
オバタ:主体的な学生もいる。大江さん自身がそうですよね?
西岡・江波戸:(大江さんを見て)そうです(笑)。
学生大江:僕は平均くらいの成績だったんですけど、めちゃめちゃ頭がいいのにSFCを選ぶ人たちもいて、その中には「すごいな」と一目置ける人が多い。
オバタ:SFCは、かつての早稲田っぽいかもね。多様性もあるし。
学生西岡:僕もそれはすごく感じますね。日吉の法学部に通いながら、毎週、SFCにも授業を受けに行っているので。まるで違う学校だなって感じています。
学生江波戸:本に「SFC生は5つに分類される」ってありましたけど、あれはびっくりしました。
オバタ:SFCには、僅かな天才、問題解決能力のある優秀層、「優秀なSFC生」を目指しているが力の及ばない普通のSFC生、本当は日吉や三田に行きたかった層、何をしたらいいのかわからないジョーカー。そういう5通りのSFC生が存在するという、ある教授の話ですね。
学生江波戸:その話って、SFCと日吉・三田では学生のあり方が全然違うっていうことですよね。SFCは、多様な授業を用意しているんだけど、専門というものがないから、学生が自分で考えて動かないと、最終的に「何やってたの?」「何もやってませんでした」ってなっちゃう。日吉・三田は、しっかりカリキュラムが用意されていて、その中で実力をつけていく。まったく違う。
OB武田:それは、先生も違うし、学生も違うってこと?
学生西岡:そうですね。先生方には「SFCは、何かに挑戦するべき」という意識があり、学生たちの中にもそういうイメージがあります。日吉はやっぱり、学生が安定を求めていて、「目の前にあることを、やっていればいい」と考えている。先生も別に挑戦を求めない。
オバタ:そういえば、西岡さんはどうして毎週、SFCに行っているんですか?
学生西岡:趣味の筋トレに関する授業が日吉になくて。じゃあ、SFCに行ってみよう、と。生化学の観点から、筋トレを学んでいます。
オバタ:なるほど。日吉の学生さんなのに、SFC生っぽい行動力ですね。
一般入試組もコスパ人生なのか?
オバタ:大学から入ってきた外部生も、似たようなコスパ重視の考え方なの?
学生西岡:入学当初は何か大きなことを目指している。でも、新しくできた友達に誘われて、サークルに入って、なんとなく流されてしまう。そういう子が多いですね。
学生江波戸:ただ、内部生と外部生の考え方の一致というよりも、「大学で何をしていいかわからない」っていう学生の多さが問題だと思うんですよ。これは慶應だけの問題じゃない。おそらく、日本のどの大学も同じ問題を抱えている。
高校まではしっかりカリキュラムが組まれていて、「教科書はこれを使いなさい」「数学はこの分野を学べばいいですよ」みたいにやってきたのに、いきなり大学で、「さあ、あなたたちは、好きに勉強していいですよ」って言われて、「えっ!?」って戸惑っちゃう。そういう感情は、内部生・外部生に限らずあると思いますね。何やったらいいかわからないから、「とりあえず、サークル入っとこう」とか。
OB武田:内部生は体育会系に入る率が高いと聞きます。練習が大変なのに入るのは、それも結局コスパのためだったりしません? 体育会系のOBつながりで、超有名企業に入れるとか。そういう後々のリターンを考えているんじゃないですか。
学生江波戸:考えている学生は多いと思います。
学生西岡:春の部活・サークル勧誘の時期にも、体育会系が「うちは就職に強いから」と言って誘う、という話はよく聞きますね。
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