神津:人口が減少していくのは、しばらくは止められないので、さらに少子高齢化が進んだ社会になることは確実でしょう。また、今後はAIなどのテクノロジーが発展していくはずです。第4次産業革命とも呼ばれています。ロボットの普及も間違いなく人間の労働に大きな影響を与えるでしょう。そうした社会変化をふまえ、2035年を一つのポイントとして政策を整理していこうとしておりまして、その議論を連合の中で始めたところです。

山本:約20年先の未来を見据えて、働き方の形も、求められる能力も変わっていくのは間違いないですね。

神津:一方で、そこまで悠長なことも言っていられない現状もあり、直近の目標もいくつか掲げています。そのひとつが、2020年までに組合員数を1000万に増やす、「1000万連合」の実現です。ただ、やたらに組織拡大をするというだけの意味ではありません。この目標の意義を問いなおして、社会にどうやって広くオープンな形でつながっていくかを考えています。

山本:どこかの新聞が1,000万部とか頑張ってましたが、風呂敷を広げすぎると着地点がむつかしくなりませんか(笑)

問題解決のノウハウを中小・ベンチャーに

山本:「働くこと」を価値とした組織化の話でいきますと、昔から連合は、"社員"という雇用者属性の組織化は得意だったのではないでしょうか。ひとつの会社に長く勤め、賃金カーブの上昇を期待しながら生涯設計を立てて行く人が多かった時代は、組織化がしやすかった。しかし、述べたとおりこれからはいろんな働き方があり、また会社をどんどん移っていく時代に差し掛かります。そうなりますと、もう少し、さまざまな属性の労働者がゆるやかにつながるネットワークをつくる方向で広げていく形にならざるを得ないのではないかと思うのです。縦割りの組織ではなく、ネットワーク型の仕組みにすることで、時間をかけて培ってきた連合の持っている問題解決のノウハウが、中小・ベンチャー企業の人たちにも行き渡る。

神津:おっしゃるとおりです。今後もっと、中小企業の経営者団体とコミュニケーションを取っていこうということで、3月に、全国中小企業団体中央会(全国中央会)の幹部と意見交換をおこないました。中小企業の賃上げなども含めて、連合と全国中央会で連携して取り組んでいこうという話になったんです。

山本:日本だと、どうしても大企業よりも中小企業のほうが、待遇が悪いというイメージがあります。ブラック企業に代表される労働問題や、ハローワークなどでの採用時点でのトラブルもかなりの割合を中小企業が占めている割に、企業が小さい分、行政の目も行き届きません。

神津:中小企業であることは、本来決してネガティブなことではないんですよね。連合で一昨年、ドイツに中小企業についての視察団を出しました。ドイツでは、中小企業の社会的位置づけが低いなんて発想はまったくなかった。

山本:ドイツでは職人育成の制度が整っていて、むしろ小さな会社で働いている人は専門技術を持って、腕を頼りに独立した人だと尊敬されている。そういう企業が、シーメンスなどの巨大な複合企業と対等に渡り合い、仕事をしています。一方、日本の町工場や独自の技術を持っている大学の研究室が大企業と連携した時に、対等に意見を言えているかというと意外とそうではないんですよね。

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