「ダラダラ残業」はマネジメント欠如の産物

神津:憲法改正阻止だけを争点にしているように見えますよね。

山本:おそらく、「野党合意」として自民党に対し共闘するにあたり、最大公約数が憲法問題だったのでしょう。しかし、有権者からすると失望を禁じ得ない。当面の目標、という感じしかしないんですよね。選挙のスローガンは、その時の選挙で達成できなかったとしても、次の選挙、また次の選挙に向けて積み重なっていくことを打ち出していくべきだと思うんです。

神津:今年4月の北海道5区補選で民進党は、「普通の人から豊かになろう」というキャッチフレーズを使っていたんですよ。

山本:それ、わかりやすくていいですね。もちろん「普通の人ってどういう人だよ」って議論はあるでしょうが。まさに、民進党が本来求めるべき政策のオプションは、財政が許す可能な限り社会保障を充実させ、豊かな人生を送れる社会だと考えられます。では、それに対して選ぶべき政策オプションは何か。政策パッケージはどうなるのか。全体をまとめるスローガンは、本来そこから導き出されるものだと思うんです。でもあのポスターを見ると、今一番何をすべきかという優先順位が、うまくつけられなかったんだろうなと。

神津:やはり2012年12月に自公政権が復帰してからは、労働者保護ルールの改悪や、社会保障費削減等、「格差社会」が助長されているんですよね。そこは連合としても食い止めていきたい。高度プロフェッショナル制度、いわゆるホワイトカラーエグゼンプションの導入も、非常によくない決定だったと考えています。

山本:ホワイトカラーの生産性が低いのは、諸外国からも指摘されていますが、これは経営者と労働者がどう働いて何を得るのかということをきちんと議論していないから起こっていることですよね。

神津:そう、本来は残業というのは、判例の定義などからも所定の労働時間外に「使用者の指揮命令下に置かれていると評価される時間」なんですよね。つまり上司が仕事をふって、それが業務時間内に終わらないのであれば、残って仕事をしてねというもの。それなのに、なぜか「定時後にダラダラ残って働いている時間をカットして、生産効率を上げよう」という話になっている。本来のマネジメントの観点が抜け落ちているんですよ。これはおそらく、男性社員が長時間働くという、高度成長期を支えた人事システムがまだ残っていることも関係しています。

山本:右肩上がりの社会だった頃の仕組みですよね。働いたら働いただけ稼げる、という意識。

神津:高度成長期は粉骨砕身して働けば、会社が成長し、自分の待遇も良くなった。だから、ルールは一応あったけれど、そこはあまり守られずに、阿吽の呼吸でなんとかなってたんですね。