ないがしろにされた「社会保障と税の一体改革」

神津:もはや、経済は縮小していくことを前提にして、そうした時代の成長とは何かという議論をするべきなんです。この部分を唯一リカバリーできたのが、2012年の、民主党・自由民主党・公明党の三党間において取り決められた三党合意でした。

山本:社会保障と税の一体改革ですね。財政を立て直し、国の中でどうお金を回すか真剣に考えた上での、政治的決断でした。けれど、蓋を開けてみればすべては先送りになり、問題は解決しないままです。社会保障費は2013年度末に全体で110兆を超え、そのうち国庫負担は44兆円にのぼり、本来ならばこの財源をどうするかという議論をしないといけません。しかし当面はモルヒネを打つように、アベノミクスをやり続けている。歳入は硬直化していて、公債残高を日銀が引き受けることでなんとかしてしまっている。必要な政策を打ち続けないと経済が失速するという理屈は分かりますが、本来の肝であった税の一体改革は、どこにいってしまったのでしょうか。

神津:三党合意で決めたことを先送りするのは、やってはいけないことです。社会に対する約束をやぶるということですからね。連合の会長として思うのは、我々としてはやはり政策が命だということ。政治というと、どうしても政局や政争といったところに焦点が当たりがちなのですが、政策をないがしろにすることだけはやめてほしい。そこは、各政党に粘り強く訴えかけていくしかないですね。

山本:ここは勘違いされがちだと思うのですが、連合って政治団体だと思われていたりしませんか? 特に、民進党(旧民主党)とのつながりが強いので、野党勢力の中心支援団体のように見えているのではないかと。

神津:そうなんです。ここではっきりさせておきたいのですが、我々は政治団体ではないんですよ。たしかに主張している政策の内容は、民進党が一番近いので民進党と連携しています。でも、自民党をはじめとするいろいろな党にも、私たちの政策を話しに行っていますし、それらの政党にも私たちの考えに賛同してくださる議員の方はいらっしゃいます。基本的には自分たちの持っている政策をもとに、そこに協力してくれる方々とコミュニケーションをとっていくという方針です。

(次回へ続く)

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