一方で最高出力に達する前の低中風速時での発電効率を高める工夫をしているのがレンズ風車だ。

<b>九州大学の大屋裕二教授は複数の風車を組み合わせたマルチローターシステムを開発</b>
九州大学の大屋裕二教授は複数の風車を組み合わせたマルチローターシステムを開発

 プロペラ型のブレードの外側を囲む輪「集風体」が最大の特徴。九州大学と同大学発ベンチャーのリアムウィンド(福岡市)が開発した。九大応用力学研究所の大屋裕二教授は「集風体によって風の渦を作ることで風力を強める。同サイズのプロペラ型に比べ2~3倍に出力が向上する」と話す。

 大屋教授が現在、実用化に取り組んでいるのがマルチローターシステムと呼ぶ、1つの支柱に複数の風車を取り付けた製品。3.1kWの風車を3つ取り付けた機種を九大内に昨年12月に設置した。3つのレンズ風車をまとめて配置することで風力を強める相乗効果があり、発電量が10%程度上がるため10kWの出力が得られる。小型ならではの出力を高める工夫だ。

課題は設備のコストダウン

 小型風力の最大の課題は設置コストが割高なことだ。20kWで2000万~3000万円にもなる。その対策として新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は産学と連携し委託・共同開発を開始した。小型風力発電の主要部品である電力変換装置などの研究開発を実施し、部品の標準化を進め30%のコストダウンを目指している。

 売電のためには電力会社の送電網に小型風力が生み出した電力を供給する系統連系と呼ぶ接続作業が必要になる。小型風力は風量によって発電量が頻繁に変化する特性がある。従来は各メーカーが独自に最適なパワーコンディショナーを開発してきたが、標準化できれば無駄な機能や部品を省ける。

 今後、各メーカーは風車だけではなく、設備全体の技術をより競っていくことになるだろう。

(日経ビジネス2016年3月28日号より転載)