本格的な普及期を迎えつつある小型風力発電。他の再生可能エネルギーに比べ高値に設定された買い取り価格が普及を後押しする。風車の出力向上と設備全体のコストダウンを目指した多くの技術革新が起きている。

自然風力発電(仙台市)が設置したスペイン・エネラ製の小型風力発電。6基並べて設置し、総発電量を高めている

 今年3月2日から3日間、東京都江東区の東京ビッグサイトで開催した「第4回国際風力発電展」では、欧米、中国、台湾、日本メーカーが競って小型風力発電の最新モデルや開発中の製品を展示した。メーカー担当者は、性能や設置コストなどを売りに、来場者へ熱のこもったアピールを続けていた。

 日本では出力20キロワット(kW)未満の風力発電を小型と定義している。そして今、この小型風力発電の設置がブームになりつつある。後押ししているのは太陽光発電に比べて2倍以上の高値で売電できる再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)だ。

 小型風力は1kW時当たりの買い取り価格が55円。対する太陽光は昨年7月に引き下げられ27円(10kW以上)となっている。太陽光の導入が急増したことなどから、経済産業省は価格を是正。そのため、「太陽光の導入を検討していた個人や企業が、小型風力に関心を示すようになった」と各メーカーの担当者は口をそろえる。また、世界風力エネルギー協会によれば、小型風力の発電容量は、世界的に見ても最近5年間で年率20%前後伸びている。

 小型風力の普及の背景には大型風力と比べた際の導入の手軽さもある。風力エネルギーは受風面積に比例するため、風車の羽根であるブレードが長いほど出力が高くなる。小型に比べ大型の方が出力効率は高く、コストパフォーマンスの面でも有利だ。だが、大型の設置には広大な面積が必要になる上、一般的に、ブレードが長くなるほど発生する騒音や低周波音が増える。最大でも高さ25m程度の小型に比べ、100m以上にもなる大型風車は景観への配慮も必要だ。設置を巡って訴訟に発展し、計画を中断した例もある。

大型風車に比べるとかなりコンパクト
●小型と大型風力発電の大きさと出力の比較
日本では20kW未満の風力発電を小型と定義。MW(メガワット)級の大型風車と比べると出力は桁違い。 小型は最大でも高さ25m程度だが、大型は100mを超え、洋上用は250mにも達する
●小型風力発電の仕組み
一般的な小型風力発電の仕組み。売電のためには電力会社の送電網である電力系統に接続する系統 連系と呼ぶプロセスがあり、そのために電力変換装置などの機器が必要になる

 現状、小型と大型とでは出力が桁違いのため代替エネルギー源にはなり得ない。だが、設置数が増えれば小型も日本の再生可能エネルギーの一翼を担う可能性がある。