衛星で違法船をあぶり出す

IHI
衛星で漁船を追跡、違法船をあぶり出す
IHIはAIS(自動船舶識別装置)の信号を衛星で捉えて地図上に表示するサービスを開始(左、漁船は水色の点)。小型船向けの簡易AISも開発した。(右)。違法船の摘発に使える

 IHIは衛星を活用して違法漁船をあぶり出す技術を開発中だ。目を付けたのが、船が搭載するAIS(自動船舶識別装置)。AIS情報は通常、沿岸で受信するため、遠洋にいる漁船の位置情報の収集は難しい。そこでIHIジェットサービス(東京都昭島市)は、AIS信号を衛星でキャッチし、その情報を提供するサービスを17年6月に始めた。

 AIS受信機を搭載した、カナダのイグザクトアースの衛星の情報を活用し、漁船の位置をほぼリアルタイムで地図上に表示する。AISを搭載していない小型船に対しては、10万円程度と安価な簡易型のAISも開発した。小型船に簡易型AISを搭載して実証実験を行ったところ、どんな海域でも船を追跡できることが分かった。簡易型AISで約10億円、運用・通信料で年間1億円程度の売り上げを見込んでいる。

 今後は、地図に表示された船の動きを分析するシステムも開発していく。船跡からどこで魚を取ったか割り出し、原産地証明が正しいかを確認する。網を入れた回数も分かる。船の貯蔵庫の容量と沿岸との往復回数から漁獲量も推定できるという。

 「AIS情報を読み解き、合法的に取られた魚であることや、原産地証明が正しいことを第三者認証機関が認証する仕組みが作れたら、持続可能な漁業に貢献できる」とIHIジェットサービス、衛星情報サービス部長の川辺有恒取締役は話す。

 水産業の生産や流通の現場にIoTが導入されることで、効率化や課題解決が進み、水産業が成長産業として生まれ変わる可能性が出てきた。

(藤田 香=日経ESG)

日経ESG

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