いつでもどこでも実践できる

ジャーナリングのメリットは何でしょうか。

吉田:いつでもどこでも実践できることでしょう。ペンと紙があればOKです。書くことで集中しやすいし、人目を気にせず実行できます。忙しい現代人でも、生活の中で無理なく取り入れることが可能です。

 通常の瞑想では呼吸に注意を向けて意識を観察するのですが、それを普通のオフィスなど人が出入りしている場所でやるのは難しい。

 私自身、ジャーナリングという名称は知りませんでしたが、高校時代に専用のノートを用意して実践していました。一番心が揺れ動いていた時期に手で書くことで助けられました。それ以来続けていますからジャーナリング歴は30数年になります。

一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュート理事の吉田典生氏。

 私が理事を務めるマインドフルリーダーシップインスティテュートがビジネスパーソン向けに提供しているマインドフルネスの手法の中で、ジャーナリングは特に反応がいい。気づきを得られたとか、スッキリしたとか、人によって様々ですが、はっきりした変化が起きた人が多いです。

 マインドフルネスはここに来て急速に広がっていますが、それでも一般のビジネスパーソンが入るには少し距離があります。ジャーナリングはマインドフルネスへの入り口として適していると考えます。

とにかく手を止めずに書きまくろう

ジャーナリングを実践する際のこつはありますか。

吉田:時間を決めることです。5分なら5分、10分なら10分と、その時間は書くことに集中します。キッチンタイマーを用意するといいでしょう。

 とにかく手を止めないこと。ジャーナリングは海外で「エクスプレッシブ・ライティング」とも呼ばれます。エクスプレッシブつまり表現ということです。書いた紙を読むのは自分だけですから自分の気持ちや言いたいことをあるがままに書きます。

 その際、「手に任せて書く」という感覚で書き進めていただきたい。考えながら書こうとして「うまく書けない」と相談に来る人がいます。そのような方には「考えずに書いてください」とアドバイスしています。

 このニュアンスを伝えるのは難しいのですが。筋トレやストレッチのような体を使うボディワークをしているつもりで取り組むといいでしょう。

 ジャーナリングを始めた当初、しばしば書く手が途中で止まります。それでも書き続けていると、そのうちすらすらと書けるようになります。粘り強く続けてみることをお勧めしています。

「手に任せる」ということは手書きを意味しますか。

吉田:はい、ジャーナリング中の脳波を測定し、その脳波から感情を読み取る実験を5名の被験者の協力を得て実施しました。

 マインドフルネスへの取り組みの経験や、被験者のコンディション、理詰めか感覚的かといった思考の傾向にかかわらず、手書きを一定時間続けることで脳が活性化していくことが確認できました。

 ある被験者は疲労のためから実験開始直後は脳の活動レベルが脳年齢の平均に比べて低かったのですが、ジャーナリングを繰り返すうちに脳が活発に動き始めました。