GEは火力発電技術を応用

 LNGへの燃料転換の動きをにらみ、船舶用エンジン事業を強化しているのが米ゼネラル・エレクトリック(GE)だ。世界最大の航空機エンジンメーカーである同社の製品は、ジェットエンジンを転用したもの。ガスタービンで発電し、電気モーターでスクリューを回す。船舶用として現在主流のディーゼルエンジンに比べて、重さは約8割軽く、体積は約3割小さいという。貨物を最大1割多く積めるほか、積み荷を増やさなければ3%の燃費改善効果も期待できる。

 GEグローバルオフショア&マリンシニアセールスディレクタージャパンの村上徹氏は、「海運会社や造船会社に加えて、電力会社やガス会社など貨物船を利用する企業にアプローチして輸送コストの削減を提案している」と明かす。海運会社や造船会社がどのメーカーのエンジンを採用するかを判断する際、顧客であるこうした企業からの要望が大きく影響するからだ。

 「COGES(コジェス)」と呼ぶGEのシステムの特徴は、ガスでタービンを回して発電した後、その排熱で作った蒸気でタービンを回し、再度発電すること。「コンバインドサイクル」と呼ばれ、火力発電に使われている方式である。GEがエンジンを供給する電気推進船は、速度をコントロールしやすく、船室などで必要な電力を賄える。ただし、エンジンで直接、スクリューを回す機械式の方が、投入する燃料に対して得られる推進力は大きい。GEはこの効率の差を埋めるために、ガスタービンと蒸気タービンの2段階で発電する方式を採用した。

 燃料は重油も使えるが、LNGにターゲットを絞る。「シェールガスの供給量が増えていることもあり、長期的に見ればLNGの方が経済的に優位性がある」(村上氏)。

 LNGに切り替えればSOxはほとんど出ないが、NOxは発生する。GEは2つの方法でNOxを削減する。一つは、燃料を噴射するノズルの数を増やし、太さを細くすること。点火のタイミングをきめ細かく制御することで、NOxの発生につながる燃焼時の温度上昇を緩和できるという。もう一つは、水を噴きかけて燃焼室内の温度を下げる方法である。前者は初期コストが高いが、管理が楽。後者は低コストの半面、水の管理が必要になる。顧客はどちらかを選べる。

SOxをほとんど出さないLNGに着目
●ガスと蒸気で2度発電するGEの「COGES」
SOxをほとんど出さないLNGに着目<br />●ガスと蒸気で2度発電するGEの「COGES」
出所:GEの資料を基に作成

 海運市況は現在、低調ではあるものの、今後、新興国の経済成長などにより荷動きの増加が見込まれる。需要を捉えるためにも、環境規制への対応が急がれる。

(日経ビジネス2017年3月6日号より転載)

環境の専門ビジネス誌。法規制や国際的なルール作り、そして消費者の志向、社会情勢などを総合的にカバーしてお伝えしています。
(写真=的野 弘路)
(写真=的野 弘路)

相馬 隆宏
日経エコロジー副編集長

肩書は日経エコロジー記事掲載時(2016年7月)のものです。