契約、仕入れ、発注、業務委託、全て仮想で完結

 ここからは、少し未来の話をさせていただきます。全く新しい価値観の話なので、皆さんは頭を一度リセットして新鮮な気持ちで読んでいただければと思います。

 結論から申し上げると、ブロックチェーンの世界では、すべてが仮想世界で完結します。それは同時に、例えばビジネスというものが現実世界とは関係なく、一人で自宅の部屋にいて誰とも会話することなく成立することを意味しているのかもしれません。

 そのような世界においては、ビジネスの進め方は現在と大きく違ってきます。会社の資産状況とか、従業員数とか、相手の肩書きとか全く関係なく日々の取引が行われるかもしれません。分かりやすく言い換えると、全ては仮想の世界で物事が起こり、そこに現実世界の価値観は全く関係がないのです。

 なぜそのような世界になるかと言えば、ブロックチェーン技術が普及すると「取引」というものは、仮想世界での契約(いわゆるスマートコントラクト)で成立するからです。仕入れ、発注、業務委託、全て仮想世界で済んでしまいます。

 取引相手の仕事に対する品質や信頼性は、全てブロックチェーン上に記録されています。これまでの取引履歴、成果物の品質、使った素材の内容、もしかするとこれまで受けた評価までもブロックチェーン上に記録されています。その履歴をトレースすれば、相手がどのような企業(もしくは個人)なのかが、分かるのです。

 極端に聞こえるかもしれませんが、要するに適正な価格で、それに見合った仕事をやってくれれば、相手がどこの国の誰であろうが構わないというわけです。

 実際に、インターネットの世界ではこのようなことが既に起こっています。例えば、Webサイトの制作やデザインの場合、クラウドソーシングというサイトで企画書をアップロードすれば世界中のWebデザイナーがそれに対して応募してきます。そのうちの一人を選んで発注すれば、それに応じてWebデザイナーが成果物を作ってくれます。そのWebデザイナーが、どこの国の、何歳の人かは関係ありません。他の例として、Uberが世界各地で事業展開する配車サービスもあります。目的地で決まった価格で運んでくれれば、ライドシェアでも、どこのタクシー会社でも、個人タクシーでもいいわけです。

 ブロックチェーンの技術が進めば、企業や個人が日々行う様々な「契約」や「取引」というものが、すべて仮想世界で完結しスムーズになる可能性があります。私は様々な企業に赴いて技術的な視点から経営上の問題点を見ていますが、多くの企業は営業や契約、発注、受注などの事務作業に多大なコストをかけています。それが、全てなくなると考えると、いかに世界が効率的になるかがよく分かるかと思います。

 さらに進むと、全ての取引は自動化される可能性があります。そうなれば、社会の生産活動はほぼ自動で動くかもしれません。ロボットが働き、受発注や契約などの事務作業は人工知能がブロックチェーンの仕組みを活用してすべて自動で行うという世界が、SFの世界ではなく現実となる可能性があるのです。そこに必要な人間は、システムを見守る管理人だけです。