南面に床から天井まで大きな窓を備えたリビング。太陽熱などで温めた湯を土間パイプに回して暖房に活用する。奥の温水機能付きまきストーブでは、生じるエネルギーの3割を放熱に、7割を給湯に使う。キッチンとの間には、地元産の院内石を用いて蓄熱壁を設けた(写真=Shinkenchiku-sha)
南面に床から天井まで大きな窓を備えたリビング。太陽熱などで温めた湯を土間パイプに回して暖房に活用する。奥の温水機能付きまきストーブでは、生じるエネルギーの3割を放熱に、7割を給湯に使う。キッチンとの間には、地元産の院内石を用いて蓄熱壁を設けた(写真=Shinkenchiku-sha)

 このほか電気の保存には20kWの鉛蓄電池を用意した。これらの組み合わせによって、太陽が3日間に2~3時間程度出れば日常で使用するエネルギー量をまかなえる計算となった。

熱をため、不要な熱は入れず

 外壁や屋根など住宅外皮の性能を高めることはエネルギーの流出を抑えるのに効果的だ。前提となるのは、寒冷な気候を踏まえた高気密・高断熱性能の確保となる。

サッシ枠の内側の上端まで室内側の断熱材を回すことで、開口部の弱点となる枠からの熱損失を抑えた。窓ガラスはトリプルガラス
サッシ枠の内側の上端まで室内側の断熱材を回すことで、開口部の弱点となる枠からの熱損失を抑えた。窓ガラスはトリプルガラス

 例えば外壁には、充塡断熱材に外張りの断熱材を付加することで、断熱材の厚さは合計で420mmとなった。通常の住宅なら100mm程度なので、その約4倍となる。壁以上に熱が出入りしやすい窓は、南面以外ではできるだけ面積を小さくした。また、全ての面に断熱性能の高い「Low-Eトリプルガラス」の木製サッシを使った。

 窓の周囲は、温熱環境とデザイン性を高めるため、細部に目を配った。夏場に不要な熱を家に入れないようにするため、南面の大開口には日差しを遮蔽する外付けの金属製ブラインドを設置。東西北面の小さな窓では、枠を覆い隠す構造で熱橋(熱の出入り口)を防いだ。

 建物形状は、シンプルな長方形平面を重ねて表面積を小さくした(建築面積は79.69平方メートル)。キッチンとリビングの間にはブロックと石で構成する二重の蓄熱壁を設け、室内の温度変化を緩やかに抑えるように工夫した。

まきコンロを備えたキッチン。流し台の向こう側の壁内に、2階の浴室から排出する湯の熱を回収するパイプを組み込んでいる。写真の手前側に1000リットルの貯湯タンクを設置している(写真=Shinkenchiku-sha)
まきコンロを備えたキッチン。流し台の向こう側の壁内に、2階の浴室から排出する湯の熱を回収するパイプを組み込んでいる。写真の手前側に1000リットルの貯湯タンクを設置している(写真=Shinkenchiku-sha)

 こうした様々な設備を施したことで、総工費は5019万円と同規模の住宅より2倍程度かかった。それでも佐藤代表は半年間住んだ実感として「生活の中で二酸化炭素を出さない暮らしはかなり気持ちが良い」と語る。

次ページ MUJIの家も外皮がポイント