有力企業が開発に注力
●全固体電池の特徴と課題
(写真提供=上から2点目:積水化学工業)

 例えば、トヨタ自動車と東京工業大学などは共同で、エネルギー密度が既存のリチウムイオン電池の2倍、出力密度が同3倍以上となる全固体電池の試作に成功した。この電池をEVに搭載すれば、約3分で充電できる可能性もあるという。これなら、蓄電池を大量に積んでエネルギー容量をむやみに増やさずとも、充電頻度を増やすことで走行距離を大幅に伸ばせる。車両の軽量化や低価格化にもつながる。

 積水化学工業も既存のリチウムイオン電池に用いられる液体電解質に性能が劣らないゲル状電解質(準全固体電池)を開発した。特にEV/PHV(プラグインハイブリッド車)向けでは900ワット時(Wh)/リットル(L)という高いエネルギー密度の実現にめどがついたとする。

 同社は昨年夏にリチウムイオン電池メーカーのエナックスを買収。今年3月には、ゲル状電解質を用いたリチウムイオン電池を2016年度中に住宅向けに出荷すると発表した。社長直属で「リチウムイオン電池(LB)プロジェクト」を発足させ、蓄電池事業を同社の中核事業に育てる方針も明らかにした。

 「LBプロジェクトの発足は我々が本気だという証し。5年以内に住宅向けに年間100億円、10年以内にEVやPHV向けに年間1000億円の売り上げを目指す」と同社の上ノ山智史・取締役専務執行役員は語る。

 日立造船は全固体電池を低コストに製造する技術を開発した。「バルク型」と呼ばれる大容量の全固体電池では、電極と電解質を溶液にしてから塗布して乾燥する工程を繰り返す。材料に高圧をかけて電解質を両電極に密着させる必要もあった。同社は粉体の成型などに強みのあるグループ会社の技術を生かして、電解質と電極を粉体の原料のまま成型する技術を確立した。

 製造工程を簡素にできる分、信頼性を維持しつつ、製造コストを抑えやすい。日立造船は、コストと信頼性を競合品に対する強みとして、早期の実用化を目指す。2018年にも電池メーカー向けに製造を始める計画だ。

 このほかにも旭化成、日立製作所、出光興産、村田製作所、太陽誘電など多数の日本企業が全固体電池の開発にしのぎを削っている。